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5.まとめにかえて
 過去の具体的事例(P号事件、E号事件そしてアセアン・イクスプレス号事件)においては、幸いなことに、関係当事国の要請をバネとしつつ、すべてが成功裏に事件を決着させ、しかも諸外国等からクレームもこなかったということから、先にも触れたように我が国の実行がそれなりに、国際法的にも認められたものと判断されなくはない。しかしそうであっても、現状において手続法的には、実は明確な枠組みがないように思われる。我が国が介入するという国家意思の決定に関する手続を整備することにより、かなり多くの、今後生じることのあり得る事件・問題に、さらに疑義無く対処できる余地を与えることになるであろうと思われる(17)
 筆者はかって「停船命令」の法的構造に関連して、法律のレベルではその根拠が希薄であることと、海上における一連の行政作用の重要な局面としての停船命令について、手続的にさらに法令の整備をはかる必要があるのではないかとの指摘をしたことがある(18)
 国際法と国内法の整合性と、海上における権限行使、取り分け強制手段を根拠付ける実体法の根拠の明確性と解釈が勿論重要であり基本であるが、国家的危機管理という側面をも併せ有することの多いこの種の事案については、我が国の存立に関連する面も考慮しつつ、手続的思考がますます重要になると思われる。








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