〔注〕
(1) このような考え方については、拙稿、海賊問題対応の問題点、海上保安紛争事例の研究第2号(平成13年)141〜142頁。なお山本草二、講演録・海洋法を育てる力、海上保安協会20〜21頁参照。
(2) 本事件についてはBARRY HART DUBNER, THE LAW OF INTERNATIONAL SEA PIRACY, 1980, pp146〜152.
(3) 拙稿、イタリアの海上保安制度、海上保安大学校研究報告法文系43巻2号(通巻68号、平成2年)106頁。
(4) 村上歴造、アキレ・ラウロ号事件に関する一考察、国司彰男教授退官記念論集・海上保安の諸問題(平成2年)24頁。なお、林久茂教授は、同一船内の行為を海賊とは認めないという見解に反対する主張は、「最近の事件に対応できないという実際的理由のほかに、公海条約はその前文に示すとおり「国際法の確立した原則を一般的に宣言しているもの」であるから、伝統的な定義をなんら変更する趣旨ではない、とする。しかし、公海条約の審議過程からみればこの反対主張は無理であって、いわゆる船舶または航空機の乗っ取り事件などは公海条約の定義から排除されていることは明らかである。」とされる。海洋法研究(1995年)112頁。
(5) 山本草二、海洋法(1992年)233頁。及び詳細は、同、国際刑事法(1991年)39〜49頁。
(6) 山本草二、前出海洋法231〜232頁。
(7) 山本草二、前出国際刑事法332〜336頁。
(8) 橋本博之、公海上における武装強盗・海賊類似事例に対するわが国の対応、海上保安国際紛争事例の研究第2号(平成13年)170頁。
(9) 注1参照。
(10) 前出拙稿、海賊問題対応の問題点133〜134頁。なお参照山本草二、国際法19頁。
(11) 制定当初の庁法第1条は「港、湾、海峡その他の日本国の沿岸水域において海上の安全を確保し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧するため、運輸大臣の管理する外局として海上保安庁を置く。」であったが、現行のそれは「海上において、人命及び財産を保護し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧するため、国家行政組織法第3条第2項の規定に基づいて、国土交通大臣の管理する外局として海上保安庁を置く。」である。
(12) 昭和47年6月2日、第68回国会衆議院外務委員会議録20号
(13) 昭和63年10月20日、第113回国会参議院内閣委員会議録7号。
(14) 平成2年4月18日、第118回国会衆議院運輸委員会議録第3号。
(15) 本稿の主題とする問題点に関し、庁法第15条の意義の再検討の必要性を提案するものとして、橋本博之、前注(8)論文179頁。
(16) 橋本博之、前出注(8)論文178〜179頁。なお本件諸事例に対応する、組織法上の根拠の問題点についても、この橋本論文に詳しい分析がある。
(17) 海に関する手続ということについて、参考になる考え方を提示するものとして、田中利幸、海の手続法、松尾浩他先生古稀祝賀論文集下巻(1998年)700頁を参照。
(18) 拙稿、継続追跡権行使とその国内法上の要件、海洋法の展開と海上保安第3号(平成11年)50頁以下。なお平成13年法114による改正で加えられた庁法第20条2項には「船舶の進行の停止を繰り返し命じても乗組員等がこれに応ぜず……」という文言が規定されてはいる。