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平成13年漁業関係法令改正とわが国の漁業管理制度
立教大学教授 橋本 博之
1.はじめに
(1)平成13年の漁業法制改革
 本稿では、平成13年の第151回国会で成立した、わが国の水産政策に関する5つの法律、すなわち、水産基本法、漁業法の一部を改正する法律、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律、漁港法の一部を改正する法律、漁船法の一部を改正する法律、の行政法学的な検討をとおして、わが国の新しい漁業資源管理法制について一定の評価を行うことが試みられる。
 これら一連の法改正は、沿岸漁業等振興法を廃止の上、新しい基本法として制定された水産基本法を中心に、日本の水産政策の改革を具体化しようとするものである。そして、政府当局の説明によれば、この水産政策改革は、わが国の国連海洋法条約の批准を契機とし、日韓・日中の新漁業協定の発効を経た現段階において、国際海洋秩序の中で、日本が自らの200カイリ経済水域の海洋生物資源の持続的利用を基本とすることが、まず第一に強調されている。
 本稿では、とりわけ、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の改正により、従来のTAC制度に加えて、漁獲努力量総量管理制度(Total Allowable Effort=TAE)が創設されたことに注目するとともに、新しく水産基本法が制定されたことの意義等についても、考察を行いたい[1]








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