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5.海辺のまちづくりワークショップ
(1)ワークショップの位置づけ
 海辺の市民利用方策について具体的に検討し、市民の意向を踏まえたガイドマップの作成に資することを目的として、海辺のまちづくりワークショップを企画・実施した。
 ワークショップを実施する地区については、以下の考え方に基づいて候補地区を数ヶ所抽出し、それぞれについて実施可能性を検討して選定することにした。
 [1]なぎさトレイルに対する市民ニーズが高いルート
 [2]なぎさトレイルとして利用向上が期待されるルート
 [3]なぎさの地域資源(ハード・ソフト)を活用できそうなルート
 具体的には、甲子園浜地区(西宮市)、舞子〜垂水地区(神戸市)の2地区において海辺のまちづくりワークショップを実施することとした。(表5−1)
表5−1 ワークショップ実施地区の抽出
地区名 住民と来訪者の利用状況 想定される主な検討テーマ 開催可能性
[1]甲子園〜今津 すぐ背後に住宅地があり、来訪者のレジャー利用に住民との摩擦が生じているが、住民も海辺の散歩に利用している。 ◎マリナパーク住民による海辺との関わりについて(利用・管理運営)
[2]舞子〜垂水〜須磨 大きく舞子、垂水、須磨の各地区に分かれる。舞子や須磨は他の候補地に比べて来訪者が圧倒的に多い。 ○ライフセービングクラブや平磯ビオトープづくりの市民団体と背後住民や来訪者との連携について
○ユニバーサルデザインと海辺の利用向上について
[3]コスモスクエア〜トレードセンター前 コスモスクエア地区内には住宅地がないが、野鳥観察会が考えられる。 ○コスモスクエア地区の協議会(企業)のまちづくりに関する取り組みと背後住民や来訪者の連携強化について
[4]泉佐野〜吉見ノ里 りんくうタウン内は、住宅地はないが、背後から散歩に来る人もいる。 ○ユニバーサルデザインの事後評価と今後の工夫について
○りんくう公園におけるヒーリングガーディナーや市民団体の連携について
(候補地区の概要)
[1]甲子園〜(新西宮YH)〜今津(約15km)
 ○小さな川沿いの緑化(武庫川団地、津門中央公園横)
 ○様々な海岸整備
 ・海浜:甲子園浜海浜公園、御前浜(香枦園浜)
 ・遊歩道・ボードウォーク:海辺の道公園(新西宮ヨットハーバーの横)、芦屋浜北公園
 ○海辺の道公園(新西宮ヨットハーバーの横)や南芦屋浜北公園は、昼食・休憩ポイント
 ○芦屋浜と南芦屋浜の間の水路では、水上スキーの練習風景が見られる。
 ○県立海洋体育館(芦屋市)ではヨット・カヌーの練習が可能。
 ○酒蔵通りの酒造記念館で見学ときき酒(有料)
 ○アサヒビール工場(西宮)の見学(予約制)と試飲
[2]須磨〜舞子(約10km)
 ○アジュール舞子の各種イベント
 7月5日(木)10:30〜 海開き こうべパールキャンドル2001点灯式、地元小学生初泳ぎ
 7月22日(日)9:00〜12:00 ちびっこ&ジュニアアクアスロンチャレンジinアジュール舞子
 7月29日(日)11:00〜 Kiss Beach Festa in AZUR MAIKO
 8月4日(土)9:30〜 第3回全日本ビーチハンドボール大会(予選リーグ)
 8月5日(日)10:00〜 第3回全日本ビーチハンドボール大会(決勝リーグ)
 8月13日(月)10:00〜11:30 チャレンジライフセーバー体験
 8月19日(日)19:00〜21:00 こうべパールキャンドル2001(雨天のときは26日に順延)
 ○マリンピア神戸:アウトレット・さかなの学校
 ○シーパル須磨:7・8月以外の平日の休憩料5000円(入浴+食事))、サンドバギーの貸し出しを行っている(3台)
 ○ビーチトレインの運行(須磨海岸の西と東を車で結ぶ)
 ○須磨区主催により「毎月ウォーク」を区内で開催。今年7月1日には、須磨海岸を清掃した後、水族館職員により海の生物等の説明が行われた。
[3]コスモスクエア〜(野鳥園、ワインミュージアム)〜トレードセンター前(約5km)
 ○なにわの海の時空館、南港野鳥園での野鳥観察
 ○緑化された遊歩道と自転車道(野鳥園〜中ふ頭駅)
 ○中ふ頭駅に野鳥園へ行くための貸し自転車数台がある((財)大阪港開発技術協会)
 ○ふれあい港館(姉妹港の展示紹介・ワインマート・ワインミュージアム)
 ○ATC(アウトレット、飲食物販店)
 ○WTC(展望施設、飲食店)
[4]泉佐野〜りんくうタウン〜吉見ノ里(約10km)
 ○泉佐野漁港「青空市場」(1F魚介類の販売・2Fレストラン)
 ○りんくう公園・マーブルビーチ(ユニバーサルデザインを目指して整備した公園)
 ○アウトレットモール
 ○関西国際センター:月〜金であればセンター食堂(昼食)を低料金で利用できる。(要予約)
 ○田尻海洋交流センター:漁業体験(90分:田尻漁港〜関空間の海域)、バーベキュー(90分)、日曜朝市(水産物)
 ○愛らんどハウス(田尻歴史館(大阪合同紡績(株)元社長の別邸を寄贈))
(2)西宮浜ワークショップのまとめ
1)ワークショップの目的
 ○周辺住民からみた、海辺を利用向上させるためのアイデアや意見をまとめる。
 ○「なぎさトレイル」モデルルート設定のための計画条件の整理及び海辺を利用向上させるための方策をまとめる。
2)開催日時・場所・天候
 ○平成13年10月20日(土)午後1:30〜5:00天候:晴れ
 ○集合場所:西宮市立西宮浜公民館
 ○グループ討議等の場所:西宮市立青少年海の家
3)参加者数
 ○市民(市民団体メンバーが中心):19人(男性7人、女性12人)
 ○事務局:6人
4)プログラム
 
 ○一回限りの市民参加型の取り組みとして実施した。
 ○海辺のウォーキング及びグループ討議については、4・5人のグループに分けて行動し、議論を行った。
 
時刻 内容
13:20〜 受付
13:30〜 はじめに
(1)主催者のあいさつ
(2)「なぎさ海道」・本調査の位置づけ
(3)本日の進め方
13:50〜 海辺ウォーキング
西宮浜公民館〜青少年海の家までの各ポイントを見ながら歩く。
14:40〜 グループ討議
(1)進め方の説明
目的
周辺住民からみた、海辺を利用向上させるためのアイデアや意見をまとめる。
方法
ポストイットに意見やアイデアを書いて、グループ内で発表する。グループ内の意見を聞いて、さらに意見やアイデアを追加することも可能です。
(2)簡単な自己紹介、発表者の選出
(3)印象(歩いてみて、よかったこと、わるかったこと、気がついたところ)
(4)改善方法
[1]目的・利用方法(散策・ウォーキング、ジョギング、サイクリング)
[2]利用時間・曜日・季節(朝・夜、平日・休日、春夏秋冬)
[3]利用者の階層(子供、大人、高齢者、身体障害者)
(5)海辺を利用向上させるための方策
[1]ハードの方策
[2]ソフトの方策
16:10〜 まとめ
(1)グループ発表・全体会議
(2)あいさつ
16:45〜 記念品などの進呈
16:55 終了・解散
5)海辺のウォーキングルート
(拡大画面: 201 KB)
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 ○海辺ウォーキングの各ポイントでは、参加者に対して現地の状況・構造などを見ていただくようにチームリーダー(事務局)から注意を促した。
 ○ここで、気づいた点は、後のグループ討議で意見をまとめることとした。

ポイント 参加者に見ていただくもの
(1) ヨットハーバーにて 階段・スロープ・手すり・ベンチ・親水性
(2) 海の道公園にて ベンチ・親水性
(3) 阪神高速道路側道(歩道)で芦屋側へ ルートの延伸の可能性
どのような利用者が考えられるか
(4) 公園整備予定地付近にて 空き地やグラウンドと水際との関係・親水性
(5) 跳ね橋(御前浜橋)にて ベンチ・跳ね橋・いつ跳ね橋となり、通行止めとなるのか
ここでは、どのような通行者が多いか
(6) 御前浜にて ここでは、どのような利用者が多いか
(7) 西宮砲台にて 何か工夫はないか
(8) 西宮ヨットハーバー前にて 北側の東西道路(臨港線)まで水際を歩けるように工夫している。白鹿記念酒造博物館が近くにある。
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市立西宮浜公民館南側公園
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新西宮ヨットハーバー付近
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海の道公園北側(阪神高速高架下)付近
6)グループ討議
 ○A、B、C、Dの4つのグループに分かれて討議を行った。
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Aグループ
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Bグループ
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Cグループ
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Dグループ
7)全体会議(まとめ)
 ○全体討議では、各グループの代表者によって各グループにおける討議内容の発表を行った。
 ○グループの発表を踏まえ、共通しているいくつかの意見やアイデアについて、挙手により全体的に賛否を確認した。
 ○下記[1]〜[4]については、参加者のほぼ全員から賛同を得たが、[5][6]については、それぞれ半数程度に意見が分かれた。
【確認した事項】
 [1]この西宮浜から御前浜の地区は、非常に景観のよいところである。
 [2]海辺におけるゴミの散乱はやはりマナーの問題が大きい。
 [3]公園を早く整備してほしい。
 [4]南芦屋浜への人道橋を整備してほしい。
 [5]西宮浜に来訪者が多く来て賑わうことはまちの魅力向上にもつながり歓迎である。
 [6]西宮浜はできるだけ地元住民で使いたい。








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