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<協会だより>
1.要人招へい
 標記事業に対し、以下の要人を我が国に招へいした。本邦滞在中、被招へい者は国土交通省をはじめとする関係機関を訪問し、運輸関連プロジェクトを中心に国際協力全般にわたって、意見・情報交換を行うとともに、各専門分野に係わる関連施設の視察を行った。
国名 分野 氏名 所属機関・役職 期間(日数)
インドネシア 海運 Mr. Hastjarya Hariyogi インドネシア海運総局海運局長 13.9.24〜9.28(5)
ヴィエトナム 港湾 Mr. Bui Anh Tuan 運輸通信省運輸技術設計公社港湾水運
技術コンサルタント港湾部次長
13.10. 1〜10.10(10)
シリア 鉄道 Dr. Safik Daoud シリア運輸省次官 13.11.13〜11.22(10)
2.研修事業
 標記事業に、以下の参加者が有り、期間中それぞれの専門分野に係わる講義を受けると共に関連施設の見学を行った。
国名 分野 参加者氏名 所属機関・役職 期間(日数)
ヴィエトナム 港湾 Mr. Nguyen Minh Quy 運輸通信省技術設計公社港湾水運
技術コンサルタント港湾部長代理
13.10. 1〜10.14(14)
フィリピン 船員 Mr. Degracia Josesonny Pagnanawon Balko International ,Inc.船員 13.10 4〜14.2.28
    Mr. Ortega Fernando Tura   (予定)
    Mr. Serano Hermeneglido,Jr.Peraren    
    Mr. Magadia Fernando Toledo    
    Mr. Milla,Jr. Nestor Bombon    
    Mr. Valde Gerruzel Sunga   13.11. 8〜14. 2.28
中国 鉄道 Mr. Lei Mingshan(雷 鳴山) 中国国際工程諮詢公司常務副総経理 13.10.29〜11.9(12)
    Mr. Zhou Xiaogin(周 暁勤) 中国国際工程諮詢公司交通項目処副主任  
    Mr. Zhu Jun(朱 軍) 中国国際工程諮詢公司交通項目処処長  
    Mr. Yang Weiming(楊 微明) 中国国際工程諮詢公司国際業務処処長  
    Mr. Qin Yongping(秦 永平) 鉄道部第四勘察設計院城市軌道処副処長  
    Mr. Liang Hanqiao(梁 漢橋) 武漢市軌道交通有限公司項目主管  
    Mr. Wang Changyu(王 長裕) 武漢市軌道交通有限公司項目主管  
    Mr. Shen Jingyan(沈 景炎) 北京市城市建築設計院高級工程師  
    Mr. Gao Shilian(高 世廉) 西南交通大学教授  
    Mr. Mao Baohua(毛 保華) 北方交通大学教授  
3.海外調査ニュース
●情報収集事業
調査団名 アジア・大洋州A班
対象国 ミャンマー
調査分野 港湾
調査期間(日数) 13.6.3〜6.15(13)
参加会員名 三井共同建設コンサルタント(株)
 
調査の目的と背景
 1988年以降、数年間ミャンマー経済は順調に発展してきたが、民主化・人権問題から西側諸国の経済制裁が続いており、1997年以降主要輸出品である米の不作、インフラの未整備、外国投資の伸び悩み等による外貨準備高の逼迫等により現在の同国の経済は厳しい情況に置かれている。調査対象地域であるラカイン州は地域の開発レベルは低く、主要産業である農業の生産性は低い。また、ラカイン州は隣国バングラデシュからの帰還難民の問題もあり、地域の安定化を目的とした開発指向型の協力がUNDP、UNHCR、NGO、国際機関及びミャンマー政府等により行われている。しかし、同州における経済活動、援助活動の拠点となるシットウィ港は老朽化が激しく物資の流通が滞っており港湾機能が低下している。
 そこで、今回の調査は同港を再活性化し、物資輸送能力の向上を図り、もって国際機関、NGO、その他の人道的援助活動が支障なく実施できるようシットウィ港のリハビリ計画に係る情報収集を目的として実施した。
 
調査内容
 ミャンマー連邦運輸省、ミャンマー港湾公社、シットウィ港管理事務所等を訪問、関係者へのヒヤリング・協議、現地調査を行い、同港の現況や整備課題を把握・整理し、わが国の果たしうる役割についてまとめた。
・維持管理状況:建設後85年を経過した鋼構造横桟橋式のメイン・ジェテイと建設後10数年のRC構造横桟橋式のミンガン・ジェテイの2つからなるが、ともに老朽化・損傷が甚だしく、安全上問題である。
・施設利用状況:メイン・ジェティは延長100m、現況水深-1.5mで、主にヤンゴン−シットウイ間の沿岸航路の内航船舶が接岸している。年間の利用隻数は年々増加傾向にあり、バースの稼動率は90%を超えて過密状態である。ミンガン・ジェティは3,000D/Wの船舶が接岸可能であるが、荷役機械や荷捌施設等未整備で、港湾機能が不充分である。
・埋没と維持浚渫:係留施設の前面泊地は埋没しており、航路・錨地も維持浚渫が不充分であるため大型船舶は接岸においては汐待ち、貨物を軽くする、あるいは錨地に停泊し小型船舶に積み替える等の制約を受けている。
・その他:倉庫等保管施設の容量に差し迫った問題は特に見受けられないが、老朽化しており、改修時には新規建て直しとなろう。荷役機械についても、現在の移動式クレーンは古い上、吊上能力が低い。荷役時間を短くして船舶の待ち時間を少なくするためには、能力の大きな荷役機械に代えるべきである。
また、埠頭への進入路についても旧市街の中心にあるため非常に混雑している上、舗装も傷みが激しい。
以上のことから早急に桟橋及び港湾施設のリハビリテーションを行うことが望ましい。
 
今後の見通し
 ミャンマー運輸省、港湾公社ともシットウィ港の重要さに鑑み、同港改修の重要性、緊急性を認識しているものの、資金の目途がたたないため、可能な範囲で修理・維持作業を行い、何とか運用しているのが現況であり、日本政府の援助に大きな期待を抱いている。
 しかし、ミャンマー側に具体的な改修計画案は無く、まずは一般無償援助のためのスタディの実施が望まれる。
○案件形成事業
調査件名 中国武漢市都市鉄道建設計画
対象国 中国
調査分野 都市交通(鉄道)
調査期間(日数) 13.7.23〜7.28(6)
参加会員名 (社)海外鉄道技術協力協会
 
1.現況
 武漢市は華中の交通の要衝であり、産業・経済・教育の中心をなす人口831万人、中心部480万人の大都市であるにも拘わらず、公共交通はバスとトロリーバスのみで、交通整備が需要に追い付かず、慢性的な交通渋滞に陥っている。このため、武漢市では大量交通輸送が可能な軌道交通の導入を検討し、政府の認可を得て1号線1期工事に本年1月に着手したが、まだ不十分であり、引き続き1号線2期工事を整備する計画を有している。
 武漢市は第1期工事と同様に、第2期工事及び第3期工事に対し日本の円借款を希望しており、日本側及び中国国家発展計画委員会の指示により都市鉄道プロジェクトの審査にあたっている中国国際工程諮詢公司と共同で、武漢市をモデルとした都市鉄道の諸問題(都市計画との整合性、システム選択、資金調達及び助成のあり方等)を研究し、その方策、具体策等を検討し、今後の建設計画の実現化を図りたい意向である。
 
2.調査事項
 武漢市の交通ネットワークの中で、軌道交通は公共交通の30%を担う計画であり、軌道交通の総延長は220km、7路線、駅数174であることが明らかになった。このうち、2020年までに5路線、117kmを整備する計画であり、骨格路線は南北の1、3号線、東西の2号線を先行整備したい旨説明があった。
 軌道交通1号線一期工事(宗関・黄浦路問、工事延長約10km、着工2001年1月、完成予定2004年7月)はほぼ全線着工しているが、高架構造のため、沿線住民からの騒音苦情が予想されるとのことで、今後騒音低減策の検討が必要とのことである。
 軌道交通1号線二期工事(宗関・古田一路間、工事延長約5.5km、完成予定2008年、投資金額10万元(約155億円))は、本年秋に国家発展計画委員会へ申請手続きを行うべく準備中である。
1号線二期工事計画概要
(1)構造:高架構造立体交差、延長5.5m
(2)車両:長19m、幅2.8m、4両編成(3MlT)、定員950人/編成
(3)1号線開業時の輸送密度:22.5万人/日
(4)運転:運転間隔最終2分、ワンマン運転
(5)電力:DC750V第3軌条
(6)駅数:最終26駅
 
3.問題点
(1)軌道交通1号線二期工事の資金調達についての検討は、まだ十分深度化していないため今後の検討課題になる。
(2)軌道交通線は中国国鉄との相互乗り入れを極力行うべきであるが、もし不可能であっても接続駅での乗り換え抵抗の少ない設備、設計を計画すべきと思われる。
(3)軌道交通の高架部で住民からの騒音苦情の予想される区間においては、今後騒音低減策の検討を行うべきである。
 
4.今後の見通し
 中国における都市鉄道は、武漢市をモデルとして都市鉄道の抱える諸問題(都市計画と整合性、システム選択、資金調達及び助成のあり方等)を研究し、その方策、具体策等を検討し、都市鉄道建設計画の実現化を図って行く必要がある。
 武漢市軌道交通1号線二期工事は、既に今年の秋に国家発展計画委員会の申請手続きを行う段階にあり、武漢市政府の現物出資(土地の買い上げ等)も決まっており、円借款を適用するかどうかについては今後の検討が待たれる。
 
5.所見等
 今回の調査では、国家発展計画委員会の指示を受け中国の都市鉄道プロジェクトの審査機関である中国国際工程諮詢公司と共同調査を実施したが、今後はさらに都市鉄道の運賃体系、騒音・振動、交通流動調査、需要予測手法及び経済・財務分析等の検討が必要と考えられる。








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