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<トピックス>
1.エルサルバドル共和国との円借款契約調印について
〜エルサルバドル共和国における物流の効率化を支援〜
 国際協力銀行は、エルサルバドル共和国に対し、「ラ・ウニオン港開発事業」の所要資金として総額112億3,300万円を限度とする円借款の貸付を行なうことを決定し、10月25日、借款契約に調印した。
 本借款は、エルサルバドル東端のラ・ウニオン県フォンセカ湾南西に位置するラ・ウニオン港(旧クトゥコ港)の港湾サービスのための諸施設(ターミナル、関連施設、アクセス道路等)の整備に必要な資機材・役務の購入及びコンサルティング・サービスのための資金を供与するものである。
 エルサルバドルは、99年の国内総生産に占める輸出入額の割合は約51%(なお日本は約17%(99年度))と貿易に大きく依存した経済構造を有しており、その物流の中心となる海運は同国にとって非常に重要な役割を担っている。しかしながら、同国における唯一の国際貿易港であるアカフトラ港は、外海(太平洋)に面し、うねり等の自然条件により、貨物取扱量、特に迅速な荷役作業を要請されるコンテナの扱いに限界があり、同国の増加する海運貨物及び世界的な潮流である貨物のコンテナ化に対応できる施設がない状況にある。エルサルバドル政府は、かかる状況に対応するため、同国東端のフォンセカ湾にラ・ウニオン港の再建を計画、同国の開発計画上の最優先事業の一つに位置づけている。
 本事業により、エルサルバドルにおいて増加する海運貨物に対応し、同国の物流の活性化・効率化が図られるのみならず、同国の地域間格差の是正や周辺の中米諸国の物流システム統合の推進に寄与することが期待される。
「ラ・ウニオン港開発事業」
(1)事業の背景と必要性
 内戦後の経済復興下、同国経済の牽引役である貿易は顕著な増加傾向にある(95年〜99年の輸出入数量の年平均増加率は、輸出が11.8%、輸入が9.6%)。それら国際貿易貨物の主要運搬手段は海運であるが、同国の唯一の国際貿易港であるアカフトラ港は、外海(太平洋)に面し、うねり等の自然条件により貨物取扱量に限界がある。特に、同港は迅速な荷役作業を要請されるコンテナの扱いには限界があり、エルサルバドルには世界的な潮流である貨物のコンテナ化に対応できる施設がない状況にある。
 エルサルバドル政府は、JICA開発調査(97-98年)にて「ラ・ウニオン県港湾再活性化マスタープラン」を作成、同国東端のフォンセカ湾の良好な自然条件を生かし、現在閉鎖されているラ・ウニオン港(旧クトゥコ港)を再建することで同国の海運貨物需要に対応を図る計画を策定した。「ラ・ウニオン港開発事業」は本マスタープランにおける短期計画として位置づけられており、同国の国家開発計画においても、開発の遅れる東部地域の地域開発に資する事業として最重要事業の一つに位置づけられている。
 
(2)事業の目的及び概要
 本事業は、新たにコンテナ優先ターミナル、バルク優先ターミナルを各々1本、及び航路、アクセス道路等の関連施設を整備することにより、ラ・ウニオン港を国際貿易港として再活性化し、もって同国において増加する海運貨物に対応することを目的としている。これにより、同国の物流の活性化・及び効率化の実現のみならず、同国の地域間格差の是正や周辺の中米諸国の物流システム統合の推進に寄与することが期待される。
 借款資金は、本事業に必要な資機材、役務の調達及びコンサルティング・サービス(調達補助・施工監理・環境保全対策実施補助)に充当される。
借款金額及び条件
案件名 金額
(百万円)
貸付金利
(%/年)
償還期間/据置
期間(年)
調達条件
本体 コンサルティングサービス 本体 コンサルティングサービス 本体 コンサルティングサービス
ラ・ウニオン港
開発事業
11,233 2.2 *0.75 25/7 40/10 一般アンタイド 二国間タイド
*特別環境案件金利








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