(2)LRT
マニラ首都圏には、軌道系交通として、PNRの他にLRTが2001年現在で2路線が運行されている。最初に導入されたLRT1号線(通称LRT)は1984年に開業した全長13.95kmの路線で、市中心部を南北方向に通り、全線高架で整備されている。
また、1999年には市中心部の主要な環状道路であるEDSA上にLRT3号線(通称MRT)のPhase-1区間(16.9km)が開業している。LRT1号線と異なり、民間資本を活用したBLT(Built-Lease-Transfer)方式で整備・運営されている。
また、現在、中心部から東のターミナルとなるSantolan駅を結ぶLRT2号線(13.0km)が建設中である。
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図 LRT路線網
(3)バス・ジープニー
マニラ首都圏をサービスするバス交通としては、バス及びジプニーから構成されている。
[1]バス
マニラ首都圏のバスはすべて民間事業者(約300社)により運営される。そのほとんどが所有車両10両以下の小規模事業者である。
バスの役割は長距離・幹線における交通を担う形で設計されており、16〜30kmのルートが全体の52%、31km以上のルートが29%となっており、都市内の比較的長距離の運行を担当している。
バス運賃は、全国同様普通料金と学生料金が基本であり冷房車の場合、冷房車料金がある。1990年12月の改定により運賃は、普通料金の場合4kmまでの初乗り運賃が1.5ペソ(学生料金1.15ペソ)、その後は1km当たり0.43ペソ(学生料金0.32ペソ)が加算されていくシステムになっている。冷房車料金は1km当たり料率が決められるのが通常であるが、1990年に完全自由化されている。政府は公共交通機関に対する規制緩和策を導入し競争による効率性の改善を進めている。運賃についても認可料金の±15%までを各バス会社が自由に運賃を設定できるFare Range Policyを導入し、乗客獲得の競争状態になりつつある。
[2]ジープ二一
フィリピンの代表的交通機関であるジープ二一は、バス同様決められた路線の運行を行っているが、マニラ首都圏内の狭い道路にも入ることが出来るので庶民の足として人気が高い。特に都心部では圧倒的なシェアを占めている。
ジープニー会社の多くは零細であり、保有車両台数も5台以下の企業がほとんどである。現在マニラ首都圏で運行されているジープ二一は450ルート以上で約3万8,000台と予想されている。ジープニーの多くが15km以下の中・短距離の支線における交通を担っており、平均ルート距離はバスの半分であり、バスとジープニーとの役割分担が読みとれる。しかしジープニーとバスが互いに競合するルートもあり、相互の競争も激しくなっている。ジープニーは乗用車よりも多人数を輸送する一方で、いつでもどこでも乗降車が可能なため、スローダウン・停車を繰り返しスピードが平均的に遅く、他の車両への円滑な走行を阻害し、渋滞の大きな一因となっている。
ジープ二一の認可運賃もバス同様のシステムにより設定されている。普通料金の場合4kmまでの初乗り運賃が1.50ペソ(学生料金1.15ペソ)、その後は1km当たり0.415ぺソ(学生料金0.31ペソ)が加算されていく。
表 バスとジープ二一のルート距離構成比
  |
バス |
ジープニー |
ルート路線 |
ルート数 |
構成比 |
ルート数 |
構成比 |
15km以下 |
26 |
19% |
377 |
84% |
16〜30km
31km以上 |
69
39 |
52%
29% |
45 |
10% |
不明 |
0 |
0% |
28 |
6% |
計 |
124 |
100% |
450 |
100% |
出所:DOTC
出典:運輸経済協力調査(フィリピン)/運輸省.
(4)トライシクル
トライシクルはマニラ首都圏内で5万台近くが運行している。渋滞がひどい都市中心部での運行は禁止されており、マニラ首都圏全域の約3分の1で運行されているのみである。サービス地域は通常、住居地域である。トライシクルは広い住居地域と近隣の商業施設やジープ二一/バス・ストップを結ぶフィダーの役割を果たしている。