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4.2 既存交通調査
(1)NCRPB,Transport Sector Plan and Investment Strategy 2011,for National Capital Region India.
 2011年を対象年次としたデリー州とその周辺地域における交通セクターのマスタープランである。以下の情報が含まれる。
 
・ デリー首都圏における2001年までのインフラ整備や交通計画に関連する計画のレビュー
・ 4パターンに亘る都市鉄道の導入、改良に関する需要分析
・ 道路ネットワークの改善、特に環状道路の建設に関する効果分析
・ 2011年における、道路網、鉄道網の提案
・ 環境改善効果に関する示唆
・ 社会費用便益に関する分析、投資計画、組織改善(鉄道、バス、道路などの整備、運営組織)に関する示唆
 
 特に、スプロール化の進む郊外部の交通需要に対処するための環状道路建設、放射状の都市内高速道路の建設、都市鉄道の導入に重点を置いている(図4-3)。バス交通網に関しては調査範囲外としているが、[1]鉄道・道路整備の進む2011年においても必要とされる交通機関であり、[2]容量の拡大が必要であり、[3]従来の道路上の運行だけでなく、専用道路の建設や高速道路での高速運行を検討する必要がある。としている。また、LRT導入の代替案として、バスの活用を検討すべきと提案している。
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図4-3 環状道路と放射状の高速道路計画路線図
 
(2)デリー高速輸送システム建設事業(II)、Delhi Mass Rapid Transport System Project(II)
 デリー市に、地下鉄及び高架・地上鉄道による総延長約198km大量高速輸送システムのうち52km分を建設することにより、交通混雑の緩和と交通公害減少を通じた都市環境の改善を図ることを目的とするものである。本事業実施により、交通混雑の緩和と排気ガスなど都市交通公害減少に寄与し、デリー市の都市交通を向上させる上で大きな役割を果たすことが期待される。なお、国際協力銀行JBICは1997年2月に本事業の第1期分として147億6,000万円を承諾済みであり、現在はその第2期工を実施中である。(事業実施者は、デリー交通公社(DMRC:Delhi Metro Rail Corporation Limited、TEL:+91-11-436-5202、FAX:+91-11-436-5370)である。)
 
(3)デリー州政府、デリー州マスタープラン
 本調査では特に詳細に調査しなかったが、デリー州独自のマスタープラン(対象年次2002-2007年)が存在している。この中では、上記NCRPBに含まれるような道路計画、都市鉄道計画のほかに、電気トロリーバスの導入(87kmの計画、実験区間は既に決定している)、スカイバス(高速バス)、大容量のバス車両(連接バス)、バス専用レーン、自転車回遊道路などの導入が提案されている。
 マスタープランの実施管理を担当するデリー州運輸通信省でのインタビューでは、交通行政官庁を一元化する必要があること、バス交通は貧富の格差是正のためにも活用したい、などの課題が示された。








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