3.6 インフラ整備計画
(1)交通インフラ整備に関わる行政機関
主要道路の建設はCDAが実施するが、建設後はチッタゴン市CCCに譲渡され維持管理が行われる。チッタゴン市はCDAが建設する以外の道路インフラの建設、維持管理を担当している。CCCがインフラ整備を実施する背景として、City Corporation LawがFacility coordinatorとしての役割を保障している。
CDAはバスターミナルの設置計画・整備、バスレーンの設置計画・整備なども担当する。
(2)バス優先レーンなどの導入計画、導入可能性
Bahaddarhatバスターミナルと市内を接続する道路に関して、バス専用レーンやNMV用レーンを含む図3-10のような断面構造をもった路線が検討されている。
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図3-10 バス専用レーンを含む都市内幹線の改良計画の断面図(単位:m)
(3)バスターミナル整備計画
CDAはBahaddarhat地区にある都市間バスのターミナルを整備・運営している。ここは主にKaptai、Cox'sBazar方面への長距離バスの起点となっているが、都市内バス、テンポなどのターミナルとしての役割を持っている。但し、ターミナル自体は都市内バスのために設計されていないため、回遊方法、停止位置などが特定されておらず、また、現状ターミナル周辺の幹線道路上でUターンを行う必要がある。
市役所、BRTAでは、Bahaddarhatターミナルの都市内バス利用に対応するためのバス回遊路線の見直しを行っている。ターミナル内の都市内バス用空間の整備、アクセス道路の整備(図3-10)とアクセス・イグレス道路の分離、全体的な回遊路線の見直しがチッタゴン市役所内で計画されている。
また、ターミナルに隣接してマーケット、民間事業者の整備施設、部品販売所などがある。特に、ターミナル周辺の計画的な施設配置は行われていない。
(4)バス停施設の整備(標示板、シェルターなど)
チッタゴン市内のバス停施設はCCCが担当している。シェルターのデザインは統一されている。停留所サインは広告と併設して整備されている。案内表示、時刻表、路線図の施設は整備されていない。また、バスベイ等の設計思想も導入されていない。CCCからは、バス停位置が交差点に近すぎることが問題点として挙げられた。
一般的なデザインを写真で示す。
3.7 車両管理
(1)車両支援のための窓口となる行政機関
チッタゴンでの都市内バスの整備状態は低く、バス車両の支援は意味のあるものであると考えられる。都市内でバスを運行しているBRTCのチッタゴン支部が運行事業者として最も適している。また、BRTCが自社所有車両を民間事業者にリースしている例も見られるため、BRTCによる直営に限らず、柔軟な車両利用は実施可能である。ただし、現状、パラトランジットとの競合などによりバス事業自体の採算性が悪く、また、BRTC自体の整備技術も望ましいものではないため、窓口としては事務処理能力が高く独自予算を持つCCCに所属する機関が妥当である。
(2)車両管理状況を監視する行政機関
一般的にバスの維持管理はBRTAの車検制度に基づくものである。BRTC所有のバス車両の維持作業はBRTC所有のデポで実施している。
一般的な車両の安全基準の作成、車両検査などを実施しているのはBRTAである。すべての車両は毎年車両検査を受ける必要がある。BRTAでは独自の安全規定に従って、BRTA検査場内で車両検査を行い、車検証を発行する。車検証は青色のステッカー(ブルーブック)になっており、ドライバーはフロントガラスの助手席側にステッカーを明示しておく必要がある。
BRTAは警察、運輸通信省から1991年に再編された新しい組織であり、車検施設などは比較的新しい。しかし、近年の登録台数に応じた人材登用などが実施されていないこと、車両検査の供給体制が追いつかないことが問題に挙げられた。
(3)現状稼動台数、現状故障状況等の車両インベントリー
BRTCでは都市内運行用に4台の2階建てバス(インド、アショカリーラン社製)と2台の普通バス、および、都市間運行用に17台のバスを所有している。2階建てバス4台のうち1台は整備中で運行しておらず、現状は3台で運行している。
一台の価格はおよそ140万タカである。
BRTCは過去に最大で49台のバスを所有していたが、車両更新予算が得られず、営業規模を縮小している。
(4)車両整備基準などの設定状況
BRTCではダッカにSafety education centerがあり、運転手の交通安全指導、整備士の整備技術指導を行っている。バス整備基準の詳細はこの施設を訪問する必要がある。
BRTCでは、独自の管理マニュアルを作成していないため、車両の維持管理は車両メーカーの維持管理マニュアルに基づいて実施している。例えば、エンジンオイル(現地では商標名を取り Mobil と呼ぶ。)交換は9,000kmごとに実施している。民間のバス事業者は、銀行などに融資を受けている背景があるため短期的な収益を高める必要がある。このため、維持管理は最低限のものしか行っていない。
3.8 バス事業規制
(1)事業規制にかかわる行政機関
BRTAがバスの路線運営に関する承認、免許の発行を行う。
(2)事業規制実施の法的背景
1961 Motor Vehicle Act
(3)民間参入規制
民間の事業者はBRTAに路線申請を行う必要がある。一方で、BRTAの分離以前、BRTCが路線管理を行っていたため、自動車法に基づけば、BRTCはBRTAに路線申請する必要がない。
(4)サービスレベルの監視を担当する行政機関
BRTA、BRTCではこの種の業務を行っていない。路線運行に関する取締りを行うのは警察の業務範囲であるのではないか。