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3 チッタゴン:都市内バス輸送の現状
3.1 チッタゴンの概要
3.1.1 対象地域概要
 チッタゴンはバングラデシュの第2の都市である。ベンガル湾の東岸、ダッカから南東へ268km、北緯20°35'から22°59'、東経91°27'から92°22'、カンナプリ河河口に位置する。都市域面積は155.5km2で、人口は356万人である。(チッタゴン市役所(Chittagon city corporation,City Profile,2000))チッタゴン丘陵地帯と呼ばれる丘陵地のふもとに位置するため、都市内は緩やかな傾斜地が多く、多くが平地部に立地する同国のその他の都市と土地条件が異なっている。
 イギリス統治時代より、アッサム地方で生産される茶葉を輸出する基地となっていたため、国内鉄道輸送網・海上輸送の拠点として位置付けられる。チッタゴンは現在も同国最大の港湾施設を有するため、運輸サービス業、倉庫業が盛んである。また、同国唯一の石油精製工場、製鋼工場、ドライドック、セメント工場など、バングラデシュの40%の重化学工業施設が集中し、バングラデシュの工業化の牽引役となっている。また、アグラワット地区に位置するCEPZ(Chittagon Export Processing Zone:チッタゴン特別非課税地域)では、多国籍企業を誘致し輸出産業・軽工業の育成に当たっている。
 
 バングラデシュは中央集権国家であり、64の行政地域(District;日本では県に相当)に分割されている。また、DistrictはThanaと呼ばれる行政地域(日本では群に相当)に分割されている場合がある。チッタゴンの都市域は6つのThanaに属している。
 チッタゴン市の行政府はChittagong City Corporation(CCC)と呼ばれている。首長は直接選挙によって選出される。都市域は41区の行政区域に分割されている。チッタゴン市は、バングラデシュの都市の中で特別市に指定されており、チッタゴン市長は中央政府の内閣の一員としての地位を持つ。
 また、中央政府機関の一つであるチッタゴン開発公社(Chittagon Development Authority)は、チッタゴン市周辺の984.34km2を対象として開発管理・規制を行っている。
表3-1 チッタゴン市の人口概況、その他
項目  
都市人口 都市圏:3,564,580人(2000、CCC調べ)
都市内:159万人(1991、国家センサス)
平均世帯人数       5.9人(1991、国家センサス)
性別人口 男性(%)
女性(%)
     58.8
     41.2
年齢別人口 60歳以上(%)
10-59歳(%)
10歳以下(%)
      3.4
     71.8
     24.8
識字率(%)      57.7
出所 : Bangladesh Bureau of Statistics, Census-1991、チッタゴン市役所 (Chittagon city corporation, City Profile, 2000)
3.1.2 社会経済概況
 バングラデシュは1971年の独立以降、国内外からの継続的な経済開発にもかかわらず最貧国の位置にとどまっている。国内総生産の半分以上が第3次産業での生産である一方で、国民の3分の2以上は農業セクターに従事している。特に、水稲はバングラデシュの重要な生産物である。サイクロンや洪水による自然災害だけでなく、生産性の低い公営企業や輸出入施設、労働団体による雇用拡大への抵抗、エネルギー供給体制の不備、組織改善の遅れなども経済成長の障害となっている。このような人為的な障害は政府組織や政治団体間で散見される。
 チッタゴンでも概して同様の状況であり、行政に対する抗議団体の活動が活発である。特に、都市計画や道路建設に関連する活動には過激な抗議団体による抵抗が見られる。








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