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大型艇による実技講習会の開催
香川県地区小型船安全協会
はじめに
 当協会は、毎年「親子海洋教室」を盛大に開催しており、平成十三年度も七月に十六回目を開催しております。しかしながら「実技講習会」としては初めてであり、何をどの様に実施するのか暗中模索の状態から、会員の皆様の熱意と高松海上保安部のご支援ご協力を得て、開催にこぎつけ、多大の成果を得て終了することができました。
計画・立案
 平成十三年度理事会などにおいて、「実技講習会」の内容に特に制約がないことを確認し、他地区の実例などを参考として検討した結果、会員の要望や魅力ある実習内容などの観点から、大型艇を使用しての操船体験を計画した。
 夏場の開催は海難防止強調運動や親子海洋教室などの行事があるため見合せ、釣りなどのシーズンオフで会員が参加し易く、マリーナなどの施設が空いている冬場に実施することとした。
 「実技講習会」は「安全講習会」の座学の実践と位置づけて同日開催とし、安全講習会の内容をディーゼル機関の概要・点検整備、海上衝突予防法などの交通三法の概要講習、実技謙習会の内容を出港前準備(航海計画立案、出港時点検など)、大型艇に乗船しての位置の確認及び保持・避航二船関係の操船実習体験として、綿密な座学、実技実施要領を作成した。特に香川県の海域においては、海上交通安全法に定めた航路が設定されており、同航路の特別なルール及び航路を航行する大型船舶との関係についても体験できるようにした。
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出航前点検
 大型の教習艇は、日本船舶職員養成協会四国支部のご好意により提供を受けたが、実施計画日しか空いておらず、冬場の天候次第で中止になる恐れのあるリスクを負いながら開催日を迎えた。
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航海計画立案
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航海計画立案
開催
 平成十三年十二月九日、晴れ、北西の風三メートルと第一関門をクリア、高松海上保安部から航行安全課長他二名の参加をいただき、当協会会員など三八名が木田郡庵治町の屋島マリーナに集合、九時三〇分から十一時まで「安全講習会」を受講し、十一時〜十六時まで屋島マリーナでの気象・海象情報入手、航海計画立案、出港時点検実習後、教習艇三隻に乗船、屋島マリーナ〜小豆島沖〜坂手港〜屋島マリーナ間で船位の確認及び二船間航法操船実習を実施した。
 機関点検整備実習は、大型船舶の機関長経験もある講師による講義で、教科書にもないような潤滑油の劣化状態の簡単なチェック方法などメンテナンスの豆知識コーナーもあり、次回はもっと詳しく実施して欲しいとの要望もでるほど好評であった。航海計画作成時の海図上でのコース取りは、経験者が少なく井上式三角定規の使用方法から説明がなされた。二船間航法実習は、追い越し、行き合い、横切り関係の十三パターンについて、講師の指導を受けながら参加者が実際に操船し、航法の習得はもとより舷の高い観点から大型艇の運動性能を体感できた。
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機関点検
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2船間の航法(横切り避航)
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2船間の航法(行き合い)
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受講生の操船による航海
最後に
 小型船の海難防止は、このような体験型も含め、講習会受講の積み重ねが大事であり、今後は今回の実技講習会の規模を縮小した座学講習と実習の組み合せを工夫した「安全講習会」を検討してみたいと思っています。
 本講習会の実施に際し、周到な準備に携わって下さった関係者や海上保安部、会員の皆様のご協力と天候にも恵まれ、無事に行事を終了できました。皆様どうもありがとうございました。








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