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平成十三年度全国剣詩舞コンクール決勝大会
 ●日時:平成十三年九月二日(日)
 ●場所:笹川記念会館国際ホール
 ●後援:文化庁・NHK
 白熱する舞台、新世紀初の栄冠は誰の手に
 全国の剣詩舞家の注目を浴びる、全国剣詩舞コンクール決勝大会が笹川記念会館国際ホールで盛大に開催されました。厳しい地方予選を勝ち抜いた精鋭たちが、日頃の精進の成果を遺憾なく発揮し、熱のこもった素晴らしい舞台を見せてくれました。

 鈴木吟亮専務理事が力強く開会の辞を告げ、つづいて河田神泉副会長が財団を代表して競演者にエールを送り、競技実施要綱の説明、審査員の紹介とつづいたあと、いよいよ緊迫感あふれる平成十三年度全国剣詩舞コンクール決勝大会の幕が切って落とされました。
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河田神泉大会副会長
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入倉昭星総合審査委員長
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詩舞各部優勝者。(左から)浅利健代、原歩、丸山愛美、長坂理絵、田中直美の皆さん
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剣舞各部優勝者。(左から)大岩行代、大岡史帆、上羽麻一子、藤野舞、美濃部浩一郎の皆さん
 
 北は北海道から南は九州まで、全国各地の予選を勝ち抜いてきた百二十八名(内一名欠場)の精鋭が火花を散らす平成十三年度全国剣詩舞コンクール決勝大会は、午前が剣舞と詩舞の幼年・少年・青年の部、午後が剣舞・詩舞の一般一部と二部に分けられて行なわれました。
 幼少年は屈託のない、はつらつとした剣詩舞を皆が見せ、青年の部では伸び盛りの躍動的な舞台を見ることができました。また、一般一部とニ部では、ベテランならではの味で、円熟した演技を堪能することができました。まさに日頃の精進が結集した、晴れの舞台にふさわしい演技が次から次へと続きました。しかも、大舞台にも関わらず、扇子を落とすなどのミスもほとんどなく、皆がよく訓練されていると感心させられました。その中で、晴れの栄冠を勝ち得たのは、剣舞幼年の部では京都の上羽麻一子さんが「桶狭間を過ぐ」で、同少年の部では福岡の藤野舞さんが「両英雄」を華麗に舞って優勝。同青年の部では愛知の大岡史帆さんが「那須与一宗高」で優勝を勝ち取りました。
 詩舞幼年の部では岡山の丸山愛美さんが「太田道灌蓑を借るの図に題す」で、同少年の部では愛知の長坂理絵さんが「春日家に還る」を立派に演じきって優勝。青年の部では岡山の原歩さんが「越中覧古」を熱演して優勝を果たしました。
 午後は剣舞と詩舞の一般一部と二部が行なわれ、円熟した演舞に年輪の深さを感じることができました。そして、優勝を果たしたのは、剣舞一般一部では三重の美濃部浩一郎さんが「出塞行」を演じて優勝。二部は愛知の大岩行代さんが「辞世」を堂々と演じて栄冠を手にしました。
 詩舞一般一部では京都の田中直美さんが「越中覧古」で、二部では岡山の浅利健代さんが「越中覧古」で見事優勝に輝きました。
 すべての競演が終了すると、石川健次郎総合審査委員による講評が行なわれました。そのお話の中で、次のような指摘がありました。
 
●剣舞詩舞ともに、幼年の部では稽古をよくしている人が入賞をしている。とくに、年齢別のコンクールなので、子供らしさを出した振り付けが入賞に近づいた。
●少年の部では、自分がどんな踊りをしているか、振りの意味を理解している人が入賞になっている。振りの意味を理解させたい。
●青年の部では、詩舞にいえることだが、見せ場を意識して踊っているのか。そうでない人が多い。山場のある演技を望む。
●一般一部と二部の剣舞にいえるのは、剣技の流れを大切にしてほしいということ。詩舞では、もっと作者の目や心で演技してほしい。
●全体的には、見せ方を工夫した者が入賞しており、見せる舞台をこれからもっと考えてほしい。
 
 この講評は競演者のみならず、会場に訪れた剣詩舞愛好家の人たちも真剣に聞き入っていました。
 そして、舞台は入賞者表彰式へと移り、河田神泉副会長が一人ひとりに賞状を渡すとき、競演者の顔からはやっと緊張感がとれ、安堵の表情が浮かんでいました。最後に高群華要常任理事が閉会の辞で、平成十三年度全国剣詩舞コンクール決勝大会を締めくくると、大会も大成功のうちに終了しました。今回惜しくも入賞できなかった人たちは、来年への決意を胸に帰途についたことでしょうし、入賞した人たちはまた新たな目的を持って剣詩舞と取り組むことでしょう。コンクールが与えるもの、それは単に結果だけではなく、剣詩舞への真摯な姿勢を見直す機会ともいえるのではないでしょうか。
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石川健次郎総合審査委員
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閉会の辞を述べる高群華要大会実行委員と、実行委員、審査委員の皆さん








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