明日への提言
笹川鎮江
小泉純一郎首相が言われた 小林虎三郎の「米百俵」の精神とは
小泉純一郎首相が所信表明演説で「今の痛みに耐えて明日をよくしようという、米百俵の精神が必要」と言われて有名になった越後長岡藩士・小林虎三郎がのこした「米百俵」の故事は、その後、新聞記事やテレビ番組などで再三取り上げられ、たいへん話題になりました。
「米百俵」は、長岡藩が戊辰戦争に敗れ、窮乏にあえいでいたとき、支藩の三根山藩から救援米百俵をもらいますが、小林虎三郎は、これを藩士たちに分配しようという意見を押し切って、長岡藩の未来のため、人づくりのための学校建設資金に充てたという故事です。これを契機に長岡の生きていく理想と方向が照らしだされ、敗戦に打ちひしがれていた人びとの心を揺り動かしたということです。
小林虎三郎の名は、全国的には馴染みがうすいと思いますが、佐久間象山門下にあって、吉田松陰(本名・寅次郎)とともに「二虎」と並び称される学識の広さで活躍、同門には勝海舟、坂本龍馬、橋本左内など幕末の名だたる人物の多くが学んでいました。
吟剣詩舞道界においての馴染みのうすさは、人口に膾炙した漢詩がないことによると思いますが、地元資料館には多くの漢籍が残されていると聞きます。早く私たちの前に現れてくることを期待したいと存じます。
昨今、平成十四年版「中学校歴史教科書」の検定に扶桑社の「新しい歴史教科書」が参入して話題となっていますが、次の機会には小林虎三郎の「米百俵」の故事もぜひ載せていただきたいと思っています。
水六訓
一、あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
一、常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
一、如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
一、自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの糧あるは水なり。
一、動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
一、大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
笹川良一