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講演
「これからの家族会のあり方〜家族会の原点に帰ろう〜」
 全家連相談室長
 良田かおり
 
1. 精神保健福祉・制度の変化と家族<歴史を振り返る>
[1] 明治時代(33年)に制定された「精神病者監護法」下、家族は「監護義務者」として座敷牢で監護する役割を期待された。
[2] 昭和25年、「精神衛生法」、「保護者制度」ができ、家族による入院を期待された。
[3] 昭和40年、訪問指導、通院医療公費負担制度など精神衛生法に盛り込まれた。
◇昭和40年には全家連が結成された。
[4] 昭和62年、「精神保健法」となり、「入院医療から地域ケア」へ。
◇家族による共同作業所づくりが、全国に展開された。
[5] 平成7年「精神保健福祉法」となる。「自立と社会参加」をテーマとして「手帳」制度、在宅福祉サービスが盛り込まれた。
◇家族は監護、保護する役割から、治療の協力者としての役割に変化しつつある。
2. 最近の動き、大きな変化と家族会
[1] 精神科医療の面で
・相次いで新薬が認可され、発売された。
・精神分裂病という病名を変更する動きが本格化している。
・病気や治療に関する情報が届きやすくなった。家族教室や講演会の開催。
[2] 市町村を窓口として、精神保健福祉サービスが行われることになった。
・精神保健福祉手帳、外来通院費公費負担制度、在宅福祉サービス、社会復帰施設利用などに関することが、市町村の窓口となる。特にホームヘルプサービスの実施。
[3] 財産管理や福祉制度の利用援助、金銭管理等のサービス
・成年後見制度、地域福祉権利擁護事業等が開始された。
[4] 家族の負担の軽減化に向かう方向。
・保護者の義務の軽減、移送制度の創設、在宅福祉サービスの提供など。
[5] 小規模授産の法定化
・共同作業所の実践が公的に評価されたといえる。法内施設化への道が開かれた。
 
 ◇上記の最近における一連の変化は、これまでの家族会の働きかけ、当事者の声があったからこそ実現できたもの。
3. 変わらぬ家族の状況、思い。<相談室から見えるもの>
[1] 病気、障害がよくなってほしい。
・医学的解明と治療の向上への願いが強いのは、今も変わらず当然のこと。
・相談できる場、人を得られず、特に対応のあり方に、常に不安を抱いている。
[2] 自立して生活できるようにしたい。
・親が亡くても、不安のない生活をしてほしいという願いは不変。
・制度を知らない。制度を上手に利用するための援助者を得られていない。
[3]世の中の偏見がなくなってほしい。
・自分の中の偏見を克服したいという思いも合わせて。孤立に追い込まれている
 
◇「隠れた家族」「情報と支えを求めている若い家族」が、家族会を知らない、結びつかない。
どのように家族会に結びつけるかが課題であり、活動の要でもある。
4. これからの家族会
A.家族会のあり方について
[1] 「家族会のよさ」を見直してみる。<「学習」と「相互支援」から始まった家族会>
1. 同じ立場の仲間に出会えるところである。
2. 心おきなく話せる、受け入れられる、気持ちが楽になるところである。
3. 必要な情報、身近に役に立つ情報があるところ。
4. 「隠さない生き方」を学び、実践する場である。
5. 生活の中から課題を見つけ、みんなで発言する。
[2] ちょっと点検してみよう
1. 毎回の例会で、忌憚なく自由に悩みを語ったり、相談したりできる時間がとれているかどうか。…特に若い家族、新入会の家族には必要。
2. 人間関係が、長い間に上下関係や役割の固定で、息苦しくなっていないか。
3. お互いのことが分かりあえ、助け合いができているかどうか。
4. 学習活動が会員の満足できる内容になっているかどうか。
5. 社会的な活動に偏ってしまっていないか。
[3] こうしてみよう
1. 例会の中で、語り合いの時間をとれるように工夫する。(特に新人が参加したとき)
2. 会員が自由に意見を言い、反映されるような運営を心がけよう。
3. 助け合いは家族会の大事な機能。困ったときには助力を頼み、手をさしのべよう。
4. 一方的な講演より、専門家に一緒に悩み考えてもらうような学習会も必要。
5. 連携してマンパワーを育てることも大切。家族だけが背負わないように。
・ネットワークを大切に、一員として見守る姿勢で。
 
B. 市町村サービスの時代になって
[1] 共に学び合う、共に成長する関係を作る。
・向かい合い、話し合い、共に活動することで理解を育てる。
・相談窓口の設置、専門職員の配置、ホームヘルプサービスの提供を確実に、そこから学べるものは多い。
・偏見の除去や秘密の保持の課題。
[2] 障害者が住みやすい地域を作るために
・障害を持った人や高齢者などが、気持ちよく住める地域にするための連携。
[3] 地域の中に、家族や本人が自由に集える場所を。
・話し合いや相談、各種の活動の拠点、事務所となるような場がほしい。
「そこへ行けば仲間に会える」、いつでも必要な仕事に取りかかれる場が必要。
 
◇家族会は知識を高め、偏見を越えつつ、必要で大切な課題を、地域に発進する役割実践しよう。








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