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第3分科会 「作業所運営・今後の事業展開の方向性」
その1
 
青森県精神障害者家族会連合会
副会長 佐藤 信顕
 
 青森県では現在18カ所の小規模作業所があるが、補助金が10年間という期限付きで交付されてきた。県からの補助、市町村からの補助と弱小の財政基盤で細々と運営してきた小規模授産施設問題と絡めて、青森県の小規模作業所がどう対応していくのか検討委員会を作り方策を移行し元気に作業が出来る状態を維持できるのか等懸念されることは尽きないがいろいろ将来に向けて考えているところである。
 
その2 「小規模作業所から、小規模通所授産施設へ、一体何がかわるのか?」
 
あゆみ共同作業所
所長 篠原 美加
 
1.地域で障害者と付き合ってゆく中でみえてきたもの。
 障害者もそうでない人も、生、労、病、死というサイクルに見合ったサービスが必要。安心して居られる場、働けなくなってもどこかに所属していたい。老いても地域で暮らしたい。こういつたことを、どう実現させてゆくか。一寸した応援があれば自分らしく暮らせる人は多い。
 
2.将来像をどう描くか。
 小規模作業所の運営継続そのものが目的になっていないだろうか。
 障害者と、彼らに関わる人達が喜べる作業所になるために、改善すべき事は何か。
 3年後の作業所は、どういう運営になっているだろうか。
 将来に向けて、必要な資源があるなら、今から対策を考えたい。
 社会福祉法人化もひとつの方向である。
 
3.財産は人と人とのつながり。
 何でも作業所完結型は発展しない。活動が小さくまとまり過ぎる傾向がある。
 迷惑をかけないようにという発想から、多くの人から智恵や力をもらおうとする開かれた姿勢が大切と考える。
 民間会社、学校、他の障害者団体、ボランティアグループ、NPO法人…精神の枠を超えよう。
 
4.落胆と希望。
 小規模通所授産施設に対し、国から示された補助金は1,100万円で、分場と言われる似た規模の施設の半分しか出ない。さらに、他の自治体では補助金の上乗せが実施されているが、札幌市は全くない。
 会計基準など、事務的にも煩雑になることは必至である。金額の面から見ると、苦が多くメリットが見えづらい。
 社会的認知、将来性ある組織として、障害者によりきめ細かなサービスの担い手となれる可能性のひろがり。福祉財団の助成金など、使える資源の可能性が広がる。
 現在、社会福祉法人みなみの会申請手続き中。
 小規模通所授産施設「あっぷるミント」(現あゆみ作業所)、グループホーム「郁爾寮」「澄川五条ハイツ」小規模作業所「澄川五条共同作業所」、共同住居「秀岳寮」を運営。
 
その3
 
ひまわり南陽作業所
手塚 奈美子
 
[1]小規模作業所の現状について
1.運営の現状
 現在国庫補助を受けて運営している全国の精神障害者小規模作業所(2000年度)は全国でおよそ、1,614ヶ所、それに加えての地方自治体からの補助金で、運営している。しかし地方自治体からの補助額には、かなりの差があり、とりわけ東北・北海道においては、低い地方であり、作業所を運営していく上には、かなりきびしい台所事情にあるといえる。
 この現状の中で、メンバー(利用者の事を指す)にとってのよりよい環境づくりは、きわめて限りが見えている。指導員報酬についても同様で、指導員とくらべれば、見返りは、少ないのが、当然の様まで浸透してしまっている。
 
2.運営の方法、事業展開
 作業所の運営を司どる運営委員としての役割も、箇々により、違いがある。運営委員のメンバーの顔ぶれもさまざまで、家族会代表、地域の代表、賛助会員が主体になっている所、指導員が含まれている、ないところ、などケースbyケースではあるが、ここの位置付けは大変重要で、作業所運営の発展性をにぎっている会といえる。
 現在の課題は、運営委員会の情報、意見の伝達がうまく、メンバー、指導員まで届かず、又、メンバー、指導員の要望、意見が、委員会に届かないのがよく見られる課題である。
 委員会と、現場の一体感は難しい所がある。(EX)所によっては、メンバーを会議の前半に参加出席させて、直接の要望・意見を委員会に訴え、伝えるというところもある。要望がかなえられるとは、限らないとはしても、有意義な会議の持ち方ではないだろうか。
 
[2]
1)小規模作業所授産施設法人化について。
 2001年より新制度がスタートした。
 これによって運営費の財源は、今現在よりは、はるかにふえるものと見込まれる。
 よって(施設の環境の充実職員報酬)運営面については、かなりの向上がはかられると考えられる。法人化のハードルが、低くなった事に伴って、現在の小規模作業所で、法人化を目指す所は、ふえると思われる。
2)課題
 運営的には、少しはゆとりが生ずるだろうが、その本来主役たるメンバーへの利益度は、どうなるか、どう配慮すべきか、が重要な課題となるのではないだろうか。
 
 ノーマライゼーションを理念とし、社会への自立にむけての作業所の役割は、運営側指導者側の、力量、センスが問われるところである。
 小規模作業所のメリットな点が法人化になる事によって向上させられるのは期待するところだが、デメリットになっては、誰の為の法人化か、わからなくなってしまうので、慎重な審議が求められるのではないだろうか。








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