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「手軽に楽しめるバンズRV―9A」  和泉 久
 
 オレゴン州オーロラにバンズ・エアクラフトというホームビルト機を専門に製造しているメーカーがある。日本では馴染みは少ないかもしれないが、既に二千六百機以上の同社製ホームビルト機が世界で組み立てられ、その多くがまともにフライトしている、という。今月は、同社の最新モデルであるRV―9A(写真)を紹介する。
 このRV―9Aは従来から同社が開発してきたRV―4や6、8と異なり、縦横比の大きな新設計の主翼を採用している。翼面積も一二%ほど大きくなり、失速速度を四十三マイルまで低くし、初心者でも容易に着陸できるようにしている。特に他の同社機が尾輪式であるのに対して、このRV―9Aは前輪式とし、離発着を簡単にしている。
 胴体はRV―6の構造と似ているが、尾翼までの距離を長くとり、空中での安定性を増しているのが特長だ。
 エンジンはセスナ15 2で使われているライカミングO―235エンジン(百十八馬力)が使われているほか、ライカミングO―290(百二十五馬力)から最大百六十馬力エンジンまで搭載することができる。O―2 35を搭載した場合、性能的にはセスナ152と同様であり、失速速度は152の方が一マイル少ないものの、上昇率ではRV―9Aの方が二百フィート/分ほど良く、巡航速度は百六十五マイル(七五%出力)と五十マイルも速いという。さらに、RV―9Aは水滴型の風防を使っているので、フライト中の視界は152よりも良いと同社では指摘している。
 これまでの金属製ホームビルト機では、アルミ材を切り、治具に据え付けてリベットにより固定して組み立てていたので、実際にフライトしてみると空気抵抗が大きく、飛行速度がでないのが一般的だった。このR V―9Aキットの場合、キットを出荷するときに既に材料をコンピュータ制御により切り抜き、リベット穴加工まで施している。このため、容易に組み立てる事ができ、フライト性能も損なわれない、という。また、半完成品のクイックビルト・キットも用意している。
 基本的にバンズ社のホームビルト機は完成したら終わりというようなプラモデル的な飛行機ではなく、十分にフライトが楽しめるのが大きな特長だ(北米のホームビルト機は、日常的なフライトに耐えられるものが多い)。ただし、RV―9A以外の同社ホームビルト機は、すべてアクロバット飛行が行える十九G、マイナス四・五Gの強度を持たせているが、このRV―9Aだけは実用的なフライトに適するように設計されているため、機体強度は十四・四G、マイナスニ・二Gとアクロバット飛行はできない。この点が、唯一、RV―9で残念なところだ。なお、昨年六月に初飛行した二番目の試作機には、百六十馬力のO―320エンジンと定速プロペラが装備され、百八十五マイル以上の速度で巡航飛行が可能になった。
 このRV―9Aであるが、クイックビルト・キットの機体価格は二万四千ドル弱、ライカミングO―320エンジンが二万ドル弱、ハーツェルの定速ピッチ・プロペラが四千八百ドル、その他計器やツーキットなどを含めると、合計六万ドル程度で購入できる(ただし、現地渡し)。
 これに加えて、バンズ製のホームビルト機への移行フライト・トレーニングやホームビルト機のフライト・テスト・コースなども用意されている。
 あなたも、この際、ホームビルト機に挑戦してみては、いかがであろうか?








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