第1章 研究の概要
1.1 研究の目的
海底地形情報は、海洋の利用、開発あるいは研究にとって最も基本的な情報であり、最近では津波の伝播計算、海洋循環のシミュレーションなどには必須のものとなっている。また、海底地形の構造解析から、地震断層の発生機構を明らかにすることも可能になり、防災上からも重要な情報となっている。
これまでの海底地形の測量は、船からの測深に頼らざるを得ず、未測の海域を広く残しているうえ、測量船が自由に立ち入ることの出来ない海域もあり、均質で高精度の海底地形が得られていない海域が多い。
最近開放され利用可能となった衛星アルチメトリ(高度計)・データは、地球全域をカバーしており、そのデータの解析手法から高精度広域海底地形図を作成できる可能性がある。
このため、既存の測量船による高品質水深データを用いて、アルチメトリ・データを評価するとともに、同データから海底地形を描画できる算式を開発し、これまで精度の良い海底地形が得られなかった海域を中心にした高精度広域海底地形図等を作成し、併せて海底地形構造の研究を行い、学術上の進歩発展に貢献するとともに、船舶航行の安全及び海難の防止に資することを目的とする。