[2]全窒素、全リン
底泥の全窒素及び全リン含有量とヨシ茎個体数密度との関係を図4.2.18に、それらの値別ヨシ存在コドラート数の頻度分布を図4.2.19に示す。
図4.2.18 底質分析値とヨシ茎個体数密度の関係
図4.2.19 底質値別ヨシ存在コドラート数
前節の1元配置分散分析では、全リンが草丈、茎径、湿重量に対し有意な関係を示し、全窒素では有意な関係が認められなかったが、データの分布を見ると、下記のようにやや別の傾向が見られた。
全窒素のヨシ密度との関係は、分布傾向が強熱減量に類似しており、値の低い側にデータが偏っている傾向が見られる。全窒素が1.25mg/g・dry以上の領域に分布するのは2データのみであり、ともにヨシ密度が平均値以上のコドラートである点も同じである。全窒素が0〜0.50mg/g・dryの間のコドラートが最も多く、この範囲に全体の75%(24/32)のデータが集中している。次いで0.50〜0.75mg/g・dryに約16%(5/32)のコドラートが存在し、この範囲を超えるとヨシの存在するコドラート数は稀である。すなわち、現状でヨシの生育が集中している全窒素の範囲は、概ね0.75mg/g・dry以下の範囲であると捉えられる。
一方、全リンについては全般的にデータのばらつきが大きく、ヨシ密度の高いデータ(高多・低多)も、特に特定の濃度帯に集中する傾向はない。強いて言えば、全リン0.050〜0.200mg/g・dryのコドラート数が相対的にやや多いということが挙げられる。先の分散分析の結果からみても、全リンがヨシの生育に関わるのは、密度よりもむしろ形状(草丈・茎径・湿重量)であると考えられる。