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[2]全リン
 ヨシの生育関連指標の中で、平均草丈、平均茎径、1本あたりの湿重量において、有意な関係がみられた指標が全リンであった。関係を図4.1.5に示す。
 
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図4.1.5 ヨシ生育関連指標と土壌中全リン濃度との関係

 全リン濃度0.050〜0.100mg/g・dryにおける平均ヨシ草丈は237.0cmと高く、以降、全リン濃度0.110〜0.140mg/g・dryで189.4cmと低くなり、0.150〜0.260mg/g・dryで178.3cmとさらに低くなったが、0.260〜0.470mg/g・dryでは204.1cmと再び高くなる傾向を示した。
 平均茎径では、全リン濃度0.050〜0.100mg/g・dryで7.2mmと太いが、0.110〜0.140mg/g・(dryで5.4mm、0.150〜0.260mg/g・dryで5.7mm、0.260〜0.470mg/g・dryでは6.1mmとなった。
 1本あたりの湿重量では、全リン濃度0.050〜0.100mg/g・dryで46.7gとなり、以降、全リン濃度0.110〜0.140mg/g・dryで23.2g、0.150〜0.260mg/g・dryで27.4gとなり、0.260〜0.470mg/g・dryでは24.0gとなった。
 以上より、ヨシ茎の形状及び重量に対しては、土壌の全リン濃度0.050〜0.100mg/kg・dryが、最も良好に寄与するものと推察された。
[3]その他
 粗砂以上割合、10%粒径、曲率係数、含水率と平均茎個体数密度との関係を図4.1.6に示す。
 
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図4.1.6 平均個体数密度と地質データ等との関係

 粗砂以上割合についてみると、粗砂以上1.9〜22.3%で平均茎個体数密度が37.0本/m2と低く、23.8〜57.7%で68.2本/m2と高くなった。以降、63.3〜83.1%で46.9本/m2となり、83.4〜95.6%では、28.8本/m2と低い値となった。ヨシの生育と土壌との関係の研究では、桜井ら(1989)が、粗砂以上の粒径の土壌では、活着率及び茎個体数が減少するという結果を報告している。本調査においても、粗砂以上割合83.4〜95.6%で平均茎個体数密度が28.8本/m2と低い値となった。
 10%粒径では、粒径0.003〜0.018mmで平均茎個体数密度が56.6本/m2となり、以降、0.028〜0.165mmで44.6本/m2、0.170〜0.300mmで55.5本/m2、0.320〜0.980mmで24.2本/m2となった。細かな粒径が少ない土壌はヨシの生育に好ましくない結果となった。
 曲率係数では、係数0.70〜0.96で平均茎個体数密度が27.6本/m2、0.98〜1.32で平均茎個体数密度が34.8本/m2と低い値を示した。
 また、土壌の含水率では、含水率が25.5〜52.9%で平均茎個体数密度が32.7%と低い値を示した。








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