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(5)E地区(今津)
 E地区のヨシ茎個体総数は659本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で56.2本/m2であった。平均形状は、茎高が170.5cm、草丈が200.5cm、茎径が5.8mmであった。茎個体数密度は全地区総平均に比べてやや高いが、形状については、総平均よりわずかではあるが小さい結果となった。1m2当たりの平均湿重量は1440g、乾重量は736g、ヨシ1本あたりの平均湿重量は27.3g、乾重量は14.2gであり、いずれも総平均値に近い値であった。
 図3.4.31より、各測線とも平均茎個体数密度、平均草丈ともに総平均に近いことが分かる。E−1測線は自生群落であるが、群落沖部に消波のための石積が設置されている。現地観測より、沖部のヨシは波浪の影響を受けている様子であった。E−2、E−3測線は植栽群落であり、高い地盤高に分布していた。整形地盤にヨシを植栽し、その沖部に蛇篭と消波柵を設置した構造である。消波効果は大きいが、ヨシ群落の陸化が進み、人工的に作られた様子が残る景観であった。
 
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図3.4.31 E地区のヨシの形状特性(茎密度と草高)
 表3.4.10にはE地区における測線別の地形・土質の概況を示した。
表3.4.9 E地区における測線別のヨシ平均形状特性
地区・測線 コドラート数 ヨシ茎個体数
(本)
ヨシ平均茎個体数密度
(本/m2)
ヨシ平均茎高
(cm)
ヨシ平均草丈
(cm)
ヨシ平均茎径
(mm)
ヨシ湿重量 (g) ヨシ乾重量 (g)
設置総数 ヨシ存在点数 1m2
あたり
1本
あたり
1m2
あたり
1本
あたり
E地区 E-1 8 7 173 41.0
(43.3)
169.7 193.7 5.7 1022 32.1 565 17.6
E-2 8 8 287 70.0
(67.5)
146.3 175.6 5.4 1589 20.1 804 10.2
E-3 6 5 199 55.4
(56.9)
206.3 242.3 6.4 1788 32.1 866 15.9
E地区全体 22 20 659 56.2
(56.1)
170.5 200.5 5.8 1440 27.3 736 14.2
(注)ヨシ平均茎個体数密度の上段の数値は、ヨシ存在コドラートの個体数密度の算術平均値。
下段( )内の数値は、個体総数を測線または地区のヨシ存在コドラート総面積で除して求めた値。
表3.4.10 E地区における測線別の湖底地形及び土質の概況
地点 E-1 E-2 E-3
湖底
地形
縦断面形状 直線斜面
(8m地点に局所的微凹地)
直線斜面
(柵の手前に微高地)
概ね平坦面
傾斜変換点
勾配 (度) 2.5 2.9 概ね水平
土質 表 層 砂礫、砂質シルト 砂礫、砂、砂質シルト 砂、砂礫
下 層

測線E−1 今津町桂 
自生群落(消波あり)
ヨシの形状特性等
 ヨシ茎個体総数は173本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で43.3本/m2であった。平均形状は、茎高が169.7cm、草丈が193.7cm、茎径が5.7mmであった。全ての指標において、総平均よりわずかに小さい。1m2あたりの平均湿重量は1022g、乾重量565g、ヨシ1本あたりの平均湿重量は32.1g、乾重量は17.6gであり、1m2あたりでは全地区総平均を下回ったが、逆に1本あたりでは総平均をやや上回った。
 測線の断面変化では、岸から沖に向けてヨシ茎密度が高くなる一方で、草丈、茎径ともに小さくなる傾向が見られた。最も沖側15.2m地点の茎密度は80本/m2であるが、草丈は平均89cm、茎径は平均3.2mmであった。
植生の概況
 岸はメヒシバ、(刈取草地)・アメリカセンダングサ優占群落であり、アカメガシワの単木が有る。岸から沖へ向けてヨシ群落が連続し、草丈は漸次的に低くなった。ヨシ群落内の混生種はアメリカセンダングサ・マコモ・オオオナモミ・アゼムシロ等、多様であった。
地形・土質の概況
 汀線は東北東を向いている。湖底地形の縦断面形状は直線斜面(8m地点に局所的微凹地)で、湖底の勾配は2.5°であった。
 湖底堆積物の土質は、岸側は「砂+礫」、ヨシ植栽地内は「砂+シルト」、沖側は「砂+礫」であった。
 湖底堆積物の硬さは、いずれの層においても「硬い」であった。
 4.1m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.08〜0.22m、土質「砂+礫」、硬さ「硬い」であり、13.0m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.08〜0.20m、土質「砂+シルト+礫」、硬さ「硬い」であった。
底質・粒度の概況
 ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量と全窒素及びIL/N比がほぼ一定の分布を示し、有機物の堆積及び無機化の状況が類似していることが考えられた。また、全リンは沖に向けて増加する傾向が見られ、本測線の底質がリン酸の難溶化を生じやすい可能性が示唆された。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、沖に向けて低下する傾向(陸側+183mV、沖側−13mV)であったが、硫化物は陸〜沖間の変化が無くともに低い濃度であり、継続的に嫌気的になるような環境ではないと考えられた。また、粒度分布は陸側の粒径が小さくなる傾向が見られたが、その差異は明確ではなく、ともにほとんどが粗砂以上(0.074mm以上)で構成される粒径であった。
 群落外沖合の地点における化学的性状は、全体としてヨシ帯沖側と類似した傾向を示しており、ヨシ帯内の底質環境と大きな違いが無いと考えられた。
 これらのことより、本測線の底質の状況について相対的に比較すると、陸側から沖に向けた底質環境はほぼ一定であり、この傾向は沖合まで連続していると考えられた。
 
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図3.4.32 E−1測線の植生・地質断面及びヨシの形状特性
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図3.4.33 E−1測線の底質及び粒度
〈備考〉横軸は基点からの距離(m)








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