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測線E−2 今津町桂 
淡海財団植栽群落(消波あり)
ヨシの形状特性等
 ヨシ茎個体総数は287本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で70.0本/m2であった。平均形状は、茎高が146.3cm、草丈が175.6cm、茎径が5.4mmであった。高密度に生育しているが、形状は細くて小さなヨシが大部分を占めた。1m2あたりの平均湿重量は1589g、乾重量804gであり、全地区総平均(1506g、665g)をやや上回ったが、ヨシ1本あたりでは平均湿重量20.1g、乾重量は10.2gであり、総平均(29.9g、12.7g)を下回った。
植生の概況
 岸はメヒシバ、(刈取草地)・アメリカセンダングサ優占群落である。岸から沖へ向けて、ヨシ群落が連続し、その草丈は漸次的に低くなった。ヨシ群落内の混生種はアメリカセンダングサ・イヌゴマ・キシュウスズメノヒエ・アゼナ等、多様であった。
地形・土質の概況
 汀線は東北東を向いている。湖底地形の縦断面形状は直線斜面(16m付近に局所的微高地)で、湖底の勾配は2.9°であった。
 湖底堆積物の土質は、岸側では「砂+礫」、沖合の石積みの手前では表層が「砂+シルト」、下層が「砂」、これらの中間区間では「砂」であり、石積みから沖合では「砂+シルト+礫」であった。
 湖底堆積物の硬さは、いずれの層においても「硬い」であった。
 2.9m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.13〜0.35m、土質「砂+礫」、硬さ「硬い」であり、14.0m地点において確認されたヨシの根域は、深度0.10〜0.25m、土質「砂+シルト+礫」、硬さ「硬い」であった。
底質・粒度の概況
 ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量と全窒素及びIL/N比がほぼ一定の分布を示し、有機物の堆積及び無機化の状況か類似していることが考えられた。また、全リンは沖に向けて増加する傾向が見られ、本測線の底質がリン酸の難溶化を生じやすい可能性が示唆された。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、沖に向けて低下する傾向(陸側+291mV、沖側−14mV)であったが、硫化物は陸〜沖間の変化が少なくともに低い濃度であり、継続的に嫌気的になるような環境ではないと考えられた。また、粒度分布には明確な差異は見られなかった。
 群落外沖合の地点における化学的性状は、ヨシ帯内より強熱減量と全窒素が大きい値を示しており、特に、強熱減量と全窒素はヨシ帯の5倍を越える濃度であり、有機物の堆積が相対的に非常に多い状況であった。全リンはヨシ帯内より低い濃度であった。また、粒度分布は全体に小さい粒径で構成されており、シルト質以下の粒径が占める割合が約60%(ヨシ帯内では5%以下)と高くなる傾向が見られた。
 これらのことより、本測線では、陸側から沖に向けて有機物の堆積程度はほぼ一定の底質環境であるが、沖合では有機物が堆積しやすい環境であると考えられた。また、本測線のヨシ帯と沖合の地点間には防波柵があり、地盤高が防波策を境界に約0.66m低下していたことから、ヨシ帯内、外の底質の連続性は考えにくい状況であった。
 
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図3.4.34 E−2測線の植生・地質断面及びヨシの形状特性
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図3.4.35 E−2測線の底質及び粒度
〈備考〉横軸は基点からの距離(m)








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