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測線D−2 近江八幡市牧南津田 
県水産課植栽群落(消波あり)
ヨシの形状特性等
 ヨシ茎個体総数は63本であり、平均茎個体数密度はコドラート平均で20.0本/m2、平均形状は、茎高98.1cm、草丈121.4cm、茎径4.7mmであった。茎個体数密度、茎高、草丈は16測線中最小であった。1m2あたりの平均湿重量は225、乾重量125g、ヨシ1本あたりの平均湿重量は13.3g、乾重量は6.8gであり、これらのいずれも16測線中で最小の値であった。
 測線の断面変化を見ると、ヨシは基点から16.7〜40.0mのコドラートに存在したが、茎密度は最大でも36本/m2と少なく、沖側寄りではまばらに株立ちする状況にあった。草丈、茎径ともに陸側から沖側にかけて小さくなる傾向が見られた。
植生の概況
 陸域の長大なルートであり、この陸域には、ヨシがわずかに混生するセイタカアワダチソウ・アキノエノコログサ・ヒナタイノコズチ優占区間、オギ、アメリカセンダングサ優占区間があり、岸近くからは、チクゴスズメノヒエ、マコモ、ヨシ、チクゴスズメノヒエ優占区間へと続いていた。このルートにおけるヨシの密度は低く、群落下層のチクゴスズメノヒエの繁茂が顕著であった。沖側のヨシは株立ち状である。ヨシ群落内の混生種はチクゴスズメノヒエがほとんどである。岸近くからは単調な群落が続いている。
地形・土質の概況
 汀線は北を向いている。湖底地形の縦断面形状は、崖地形から平坦面に移行する。崖地形の部分は勾配8.5°の直線斜面であり、18m付近の遷緩点を境にして勾配はほぼ水平となる。 湖底堆積物の土質は、37m付近までは「砂+礫」(特に13.9m〜17.5m区間は「礫」)であり、沖寄りの木杭の手前は、表層が「シルト」下層が「砂+シルト」であった。木杭よりも沖合は「砂+シルト」となる。
 湖底堆積物の硬さは、37m付近までの「砂+礫」では「軟らかい〜硬い」(13.9m〜17.5m区間の「礫」層は測定不能)であり、沖寄りの木杭手前の「シルト」層では「非常に軟らかい〜軟らかい」、「砂+シルト」層では「中位の〜硬い」であった。木杭より沖合の「砂+シルト」層では「中位の〜硬い」であった。(この測線中の底泥採取地点においては、ヨシの根域を確認することができなかった。)
底質・粒度の概況
 ヨシ帯内では陸から沖に向けて、強熱減量はほぼ一定の分布、全窒素は若干減少する傾向を示し、ともに他の測線に比べて低い濃度であった。IL/N比は沖に向けて上昇する傾向を示し、他の測線で示した値の範囲であった。このことより、本測線では陸〜沖間において、有機物の新たな供給が相対的に少ないと考えられた。全リンは沖に向けて減少する傾向がみられた。また、酸化還元電位(ORP)からみる底質の状態は、沖に向けて低下する傾向(陸側−48mV、沖側−141mV)であり、硫化物が沖側で低いことから、沖に向けて継続的に嫌気的になるような環境であると考えられた。また、粒度分布は陸側では細礫〜礫(2.0〜4.76mm)の構成が多く全体の約70%を占め、沖側では細砂(0.074〜0.42mm)の構成が多く全体の約50%を占めた。
 群落外沖合の地点における化学的性状は、ヨシ帯内より強熱減量、全窒素及び全リンが大きい値を示し、特に強熱減量と全窒素はヨシ帯の10倍を越える濃度であり、有機物の堆積が相対的に非常に多い状況であった。また、粒度分布はシルト質以下の粒径が占める割合が約30%(ヨシ帯内では1%以下)と高くなる傾向が見られた。
 本測線では、陸側から沖に向けて有機物の堆積程度がほぼ一定の環境であるが、沖合では有機物が堆積しやすい環境であると考えられる。また、ヨシ帯と沖合の地点間には防波柵があり、地盤高が防波柵を境に急深となっていたことから、ヨシ帯内、外の底質の連続性は考えにくい。
 
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図3.4.27 D−2測線の植生・地質断面及びヨシの形状特性
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図3.4.28 D−2測線の底質及び粒度
〈備考〉横軸は基点からの距離(m)








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