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(3)底泥の物理特性に係る調査結果
[1]地盤硬度
 設置コドラートごとにコーン貫入抵抗を測定した。底泥深さ10cmごとの試験結果より、地区別及び全地区の平均値を表3.3.7に、測線別平均値の分布を図3.3.11に示す。
表3.3.7 深さごとの底泥硬度(コーン貫入抵抗)測定結果の集計値
地区 コーン貫入抵抗(kN/m2)
10cm 20cm 30cm 40cm 50cm 60cm 70cm 80cm 90cm 100cm
平均値 A地区 440 678 727 728 803 845 864 883 885 883
B地区 400 602 681 739 789 832 868 852 859 865
C地区 534 626 680 741 905 972 995 1000 1000 1000
D地区 320 549 668 742 795 830 842 863 881 906
E地区 706 964 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000
全地区総平均 448 659 730 769 833 872 892 898 904 911
*917kN/m2を超える強度の地盤については、1000kN/m2の値を代入した。
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図3.3.11 地盤硬度(コーン貫入抵抗)測線別平均値の鉛直分布
 これによると、深度10cmのコーン貫入抵抗の全地区平均は448kN/m2であり、深度が増すほど地盤硬度は大きくなった。
 地区別では、深度10cmの地盤硬度はE地区が最も硬く706kN/m2、次いでC地区が534kN/m2であり、以下A→B→D地区の順となった。E地区では、深度30cm以深にはコーンが貫入できないほど強固な地盤となっていた。
 測線別の分布を見ると、A地区の各測線及びB−1、B−2、D−3では、表層(深度10cm付近)の値がやや小さく20cm以深は同程度の硬度ないし緩やかな増加を示す傾向が見られ、B−3及びC地区の各測線、D−1、D−2では深度60cm付近までの間に硬度がほぼ一律に増加して最大値付近に達する傾向が見られた。また、E地区は、各測線とも深度20〜30cm付近で最大値に達し、前述のように表部から既に非常に硬い地盤であることが示された。
 深度10cmにおけるコーン貫入抵抗の地盤高別平均値を図3.3.12に示す。これによると、B.S.L.10cmで地盤硬度は最大を示し、低地盤高へかけて小さくなる傾向が見られ、B.S.L.−130cmで最も小さい値を示した。一方、B.S.L.10cm以高にかけても、地盤硬度はわずかながら小さくなる傾向を示した。
 
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図3.3.12 深度10cmにおける地盤硬度(コーン貫入抵抗)の地盤高別平均値
[2]底泥粒度
 各測線において、ヨシ群落の陸域、ヨシ群落の沖域、ヨシ群落外部の原則3カ所で採取した底泥の粒度分布測定結果より、粗砂以上割合、細砂分割合、シルト以下割合、中心粒径、10%粒径、均等係数、曲率係数の各値を求め、集計した。データ数は各50である。全体集計の結果を表3.3.8に示す。
表3.3.8 底泥粒度測定結果の全地区集計結果
  粗砂以上(%)
0.42mm以上
細砂分(%)
0.074〜0.42mm
シルト以下(%)
0.074mm以下
中心粒径
(50%mm)
10%粒径
(mm)
均等係数 曲率係数
総平均 45.1 38.5 16.4 1.0 0.2 19.0 1.9
最大値 95.6 92.8 77.9 5.6 1.0 226.7 28.2
最小値 1.9 4.0 0.1 0.0 0.0 1.7 0.2
標準偏差 32.4 25.4 20.2 1.3 0.2 35.2 3.9
 平均値では粗砂が45%以上を占め、均等係数も19.0と大きく、土壌の粒径幅が広い結果となった。
 地区別の粒径に関するデータの集計結果を表3.3.9に示す。粗砂の割合はB、E地区で高く、C、D地区で小さい傾向、シルト以下の割合はA、C地区で高い傾向を示した。均等係数の値からはB、E地区では粗砂の割合が高く中心粒径も大きいが粒度分布の幅はB地区で狭くE地区で広いことが読み取れる。粒度分布に関しては、地区ごとの標準偏差に大きな差は生じなかったが、中心粒径のばらつきはD地区、E地区で大きい結果となった。
表3.3.9 底泥粒度測定結果の地区別集計結果
  粗砂以上 (%)
0.42mm以上
細砂分 (%)
0.074〜0.42mm
シルト以下 (%)
0.074以下
中心粒径
(50%,mm)
10%粒径
(mm)
均等係数 曲率係数
平均値 A地区 41.2 37.1 21.7 0.4 0.1 23.2 1.3
B地区 61.4 24.7 13.9 0.8 0.2 7.4 1.4
C地区 26.8 51.0 22.1 0.6 0.1 14.5 1.5
D地区 34.1 54.6 11.3 0.9 0.1 10.2 1.5
E地区 61.8 26.8 11.3 2.3 0.2 36.0 3.9
標準偏差 A地区 27.8 16.7 20.2 0.3 0.1 32.1 1.2
B地区 33.2 28.1 23.2 0.5 0.2 9.8 1.0
C地区 25.0 16.7 15.5 0.7 0.1 6.0 1.0
D地区 29.8 27.7 15.6 1.6 0.1 8.5 0.8
E地区 30.6 22.7 21.9 1.9 0.3 64.4 8.3
 
 測線別の粒径に関するデータの集計結果を表3.3.10に、粒度構成比の比較を図3.3.13に示す。自生群落で消波施設の無いA−1、C−3、D−1測線において、粗砂の割合が少ない結果を示した。植栽群落のB−3測線と自生群落で消波施設有りのE−1測線では、粗砂の割合が80%を超えた。シルト以下はA−1、A−2測線で大きく、中心粒径はE−1、D−2測線で大きくなった。均等係数はE−1、A−2測線で大きく、曲率係数はE−1測線で最大となった。自生・植栽別、消波施設の有無別により、土壌の粒径に傾向が生じる結果となった。
表3.3.10 底泥粒度測定結果の測線別集計結果
自生植栽 消波施設 測線 粗砂以上 (%)
0.42mm以上
細砂分 (%)
0.074〜0.42mm
シルト以下 (%)
0.074mm以下
中心粒径
(50%,mm)
10%粒径
(mm)
均等係数 曲率係数
A-1 11.9 50.5 37.7 0.2 0.0 21.4 2.0
A-2 33.2 26.7 40.1 0.2 0.0 70.6 1.9
A-3 62.8 30.9 6.3 0.6 0.2 7.7 1.3
A-4 57.7 39.4 2.9 0.5 0.2 3.1 1.1
B-1 39.9 55.8 4.4 0.7 0.2 4.0 0.9
B-2 62.2 8.8 28.9 0.8 0.3 4.6 1.3
B-3 82.1 9.4 8.5 0.9 0.3 13.7 2.1
C-1 46.7 42.5 10.9 1.3 0.1 17.5 0.9
C-2 24.3 43.8 31.9 0.2 0.0 16.1 1.5
C-3 9.6 66.8 23.6 0.2 0.0 9.9 2.3
D-1 12.3 86.9 0.8 0.2 0.1 2.0 1.0
D-2 52.4 38.5 9.1 1.9 0.2 10.3 1.7
D-3 37.5 38.4 24.1 0.5 0.1 18.2 1.9
E-1 87.9 11.5 0.6 4.3 0.4 82.3 9.9
E-2 50.7 27.0 22.3 1.1 0.2 11.4 2.3
E-3 50.7 38.1 11.1 1.6 0.2 19.8 0.5
 
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図3.3.13 測線別粒度構成比の比較
 陸域・沖域・ヨシ外部別、自生・植栽別、消波施設有無別の粒径に関するデータの集計結果を表3.3.11に示す。粗砂以上がヨシ群落内部では55%以上を占めたのに対して、ヨシ群落の外部(植生帯の沖側)では、22%と低い値であった。ヨシ群落内の粒径は、外部に比べて粗い傾向がうかがえた。中心粒径は、ヨシ群落内では1.00mmを超えたのに対して、外部では0.50mmであった。
表3.3.11 底泥粒度測定結果の陸域・沖域・外部別、自生・植栽別、消波施設有無別の集計結果
  粗砂以上 (%)
0.42mm以上
細砂分 (%)
0.074〜0.42mm
シルト以下 (%)
0.074mm以下
中心粒径
(50%,mm)
10%粒径
(mm)
均等係数 曲率係数
陸域 56.6 30.9 12.5 1.3 0.2 12.5 1.7
沖域 55.5 36.2 8.3 1.0 0.2 15.4 0.9
外部 21.8 48.6 29.5 0.5 0.0 29.5 3.3
自生 38.3 47.0 14.7 1.1 0.2 21.7 3.1
植栽 49.2 33.3 17.5 0.9 0.2 18.2 1.4
消波有 50.6 33.2 16.2 1.6 0.2 26.0 2.8
消波無 41.7 41.7 16.6 0.6 0.1 14.7 1.4
 
 自生・植栽別では、植栽群落で粗砂が約10%多い結果となった。消波施設有無別では、消波施設有りで粗砂が約9%多い結果となり、中心粒径は1.00 mm以上大きい結果となった。
《備考》
◆粒径区分
 粗砂2.0〜0.42mm、細砂0.42〜0.074mm、
 シルト0.074〜0.005mm、粘土0.005〜0.001mm
◆代表粒径
 粒子を粒径の小さいものから大きいものまで順に並べた場合の累積度数百分率曲線(粒度分布曲線)において、粒径の小さい方からそれぞれ10%、30%、50%、60%に当たる粒子の粒径を10%粒径、30%粒径、中心粒径、60%粒径という。
◆均等係数
 粒度分布曲線の傾度を表す指標であり、値が大きいほど粒度分布の幅の広い事を示す。
 60%粒径(U60)と10%粒径(U10)の比で表す。均等係数=U60)/∪10
◆曲率係数
 粒度分布が一様であるか、階段状であるかなどのなだらかさを表す指標。30%粒径(U30)とU60、∪10により次式で求められる。
 曲率係数=∪302/(U60×U10)








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