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1.はじめに
 内湾、港湾、運河等の閉鎖性海域は、外部との海水交換が行われにくく、汚染物質が蓄積しやすいため、汚濁の進んだ海域が多くみられる。このことは漁業への影響を始めとし、様々な水域利用において障害となり、我が国にとって大きな社会問題となっている。例えば、漁業組合に対する平成8年度の調査によると、約44%の海域において浄化が求められているという結果が得られている。
 閉鎖性海域の水質改善は、その海域に流入する汚濁負荷量の削減が重要であり、最近、法的規制がなされ改善が進められているが、閉鎖性海域ではすでに大量の有機物がヘドロとして堆積しているために、規制による効果には大きな期待が持てず、大規模な海水浄化を必要とする海域が増加している。
 これらを解消するためには、長期的な視点に立って、海域の特性に適する自然浄化能力を活用する浄化システムや浄化の物質循環に対する効果を総合的に評価する技術の研究開発などを地道に実施することが必要であるが、一方極端に汚濁の進んだ運河などの閉鎖海域においては短期間に、しかも直接的に浄化する技術の開発も望まれている。
 本事業の目的は、汚濁の進んだ運河などの海域を対象として、該当海域における生態系に対する影響にも配慮しつつ、汚濁海水を短期間に直接浄化して、太陽光が海底に届く環境を取り戻し藻類や生物を活性化するシステムの実用化を図るものである。なお、対象海域の底泥汚濁状況あるいは流入する汚濁負荷量などによっては、本システムによる直接浄化を何回か繰り返すことにより、徐々に底泥の改善を図れる可能性も考えられる。
 本システムを実用化することにより、閉鎖性海域の環境問題を解決するだけではなく、海域周辺地域の環境ポテンシャルも高めることができ、ひいては地域経済の発展にも寄与するものである。また、本浄化システムは、同様な環境問題に苦しむ海外各国においても活用することができるものであり、従って国際的な協力にも寄与することができる。
 本年度の事業は、本システムの実用化に向けた基本技術の確認と実施海域の調査研究を行うものである。








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