日本交響楽振興財団について
財団設立の経緯と目的
1972年秋の園遊会の場で、天皇陛下(昭和天皇)に指揮者 小澤征爾氏がわが国の交響楽団の経済的苦境についてお話申しあげました。
こうした事情を背景に当時の総理 佐藤栄作氏より交響楽団への支援要望を受けた社団法人 経済団体連合会(会長 植村甲午郎)は、交響楽の普及と交響楽団の支援を目的として、財団法人 日本交響楽振興財団を設立、翌73年3月、文部大臣より設立許可を得て正式に発足しました。同年4月開催の理事会では、会長に植村甲午郎氏、専務理事には花村仁八郎氏が選ばれました。その後、1978年には、新しく江戸英雄氏を会長に迎え、1997年からは第3代目会長として福原義春氏が就任、これまでの会長が残した足跡の上にさらに新たな構想を加え、当財団の発展に努力してまいりました。
今日、交響楽はわが国で広く国民に愛されているにもかかわらず、とくに地方では大規模編成による楽団の生演奏に接する機会はなかなかありません。交響楽団自体も特定の自治体あるいは企業に依存する一部の交響楽団を除いて、その運営は極めて不安定な状態にあります。
こうした状況下にある交響楽団と低廉な料金を望む聴衆との間にあって、この経済的矛盾を解決し、とくに莫大な経費を必要とする地方巡回公演を助成、援助する対策として、それに相応した機関の設立が久しく強く要望されておりました。
当財団の設立は、これらの要望に応えようとするものであります。従って、設立目的達成のため、各方面からの経済的支援を得て、わが国交響管弦楽の振興と更なる普及を図るため、交響楽団等の演奏活動を助成するとともに、すぐれた交響管弦楽を提供し、わが国音楽文化の向上に更に努力してまいりたいと存じます。
青少年を中心とした演奏会
1973年5月、日比谷公会堂で新日本フィルハーモニー交響楽団の出演による創立記念演奏会を開催。これが当財団の最初の事業であります。
以降、日本自転車振興会の補助金により、広く青少年を含めた一般国民の情操の涵養を目的とした巡回公演事業を実施、1974年からは(財)日本船舶振興会の補助金を受けて青少年への交響楽普及を目的とする音楽教室を開催してきました。
全国各地の演奏は在京の交響楽団のみだけでなく、地元の交響楽団の協力も得て演奏活動を実施しております。低廉な料金による大規模編成のプロオーケストラの生演奏の提供をはじめ、指揮者、ソリスト、楽団員等の協力を得て音楽教室を開催するなど、特色のある事業活動は、各地の教育機関をはじめ公共団体、文化団体等から高い評価を受け、当財団への開催方の要望は、逐年増加しております。
この他の事業としては、全国の知的・身体障害者を対象としたコンサートを実施しております。一般の大きな演奏会場で音楽を聴いたり、楽器とふれあうことで、音楽を心と体で感じてもらう機会を提供する"ふれあい"コンサートです。全国的な活動の展開を図るよう、関係諸方面から非常に期待されております。
現代日本のオーケストラ音楽の演奏会
1976年5月に当財団の企画・運営面で中枢的機能を持つ企画委員会が設置されました。設置と同時に企画されたオーケストラ曲の委嘱・公募が開始され、これを初演する"現代日本のオーケストラ音楽"の演奏会が始まりました。
以後、今日まで新進作曲家には公募の機会を、中堅作曲家には委嘱により創作・発表の場を、一般聴衆には現代音楽の鑑賞機会を提供してまいりました。オーケストラ曲の公募では、1978年に「作曲賞」が創設され、1996年には、「作曲賞」に与えられる作曲委嘱として「日本財団賞」が、さらに1999年には「日本交響楽振興財団奨励賞」が創設されるなど、目覚ましい充実をみております。作曲賞への入選・受賞を機に大きく成長した若き作曲家も多く、わが国のオーケストラ界の発展に貢献している当財団への評価は、非常に高いものがあります。この間、全音学譜出版社より委嘱作品・作曲賞作品の総譜が、委嘱作品シリーズ18集と作曲賞作品シリーズ4集として刊行され、それぞれ好評を得ております。
海外関係では、1977年にカラヤン音楽財団(ベルリン)へ3名の青年音楽家を研修員として派遣、1979年にはブラジルの交響楽団より奏者の派遣方要請、1983年にはオーストラリアのクィンズランド青少年交響楽団より邦人作曲家への作曲委嘱料に対する助成の要請等、多方面にわたる国際交流への途もひらかれました。
設立 |
1973年3月30日 |
主務官庁 |
文部科学省(文化庁)
「特定公益増進法人」認定(1977年) |
基本財産 |
5千万円(2001年4月現在) |
所在地 |
〒101-0063
東京都千代田区神田淡路町2-3-2(第2亀田ビル)
TEL:03-3253-2032
FAX:03-3253-0566 |