(2) 処理システム
処理システムについては、[1]堆肥化、[2]チップ化、[3]ボード化、[4]燃料化の4つの代替案を提示した。[2]〜[4]は枝の部分を処理する代替案である。
[1] 堆肥化
代替案 |
代替案1 堆肥化 |
概要 |
・剪定枝を破砕して山積みし、切り返しを行うことによって堆肥を製造する方法である。場合によっては、鶏糞などを混ぜる場合もある。 |
メリット |
・堆肥化は古くから行われている技術であり、技術的に確立されている。野積みして切り返すような簡単な技術から、建家内で温度や湿度を調整しながら堆肥を製造するコンポストプラントまで、必要に応じて選択が可能である。
・得られた堆肥を市民が庭や畑で利用することにより、剪定枝の市内循環が可能である。
・製造した堆肥をイベント等で市民に配布することによって、PR・啓発効果が期待できる。
・大量の剪定枝を処理することができる。 |
デメリット |
・松山市内から回収した剪定枝を処理するためには、市の直営施設または民間施設で大規模なプラントの確保が必要である。
・できた堆肥については、市の公共事業で利用する他に、市内の農家への販路が必要である。
・家庭系の剪定枝には、殺虫剤などの農薬が使用されていると考えられる。そのため、製造した堆肥の有機塩素系成分や重金属成分などのチェックを行い、安全な製品の製造に留意する必要がある。 |
先進事例 |
・神奈川県鎌倉市では収集した家庭系の剪定枝と持ち込まれた事業系の剪定枝を堆肥化している。
・東京都江東区では、街路樹や公園など区が管理する施設から排出される剪定枝を堆肥化(一部をチップ化・原木利用)している。
・京都市では、JA京都中央がコンポストステーションを建設し、剪定枝とビールかす汚泥を混合し、約半年をかけて有機堆肥を製造している。 |
再生品の使用 |
・できた堆肥は、市の公共工事で優先的に使用するほか、イベント時に市民に配布することも考えられる。また、需給バランスを確保するためには、農家への販路を確保する必要がある。 |
[2] チツプ化
代替案 |
代替案2 チップ化 |
概要 |
・枝の部分を破砕してチップ化し、公園や遊歩道に舗装材として10センチ程度の厚みに敷きならす。これによって、雑草や土の乾燥を抑制することができる。また、学校や公園で滑り台などの遊具の下に20センチ程度の厚みに敷くことによって、クッション材としての役割を果たす。敷きならされたチップは適度な弾力があるため、歩き心地がよくなる。チップは、時間とともに腐食化が進み土にかえっていくことで、土壌の改良も期待できる。 |
メリット |
・剪定枝を一定以下の大きさに破砕するだけの単純な技術であり、導入が容易である。
・得られたチップを市の公共工事で使用することにより、剪定枝の市内循環が可能である。
・市内の公園や学校などで使用することにより、PR・啓発効果が期待できる。
・大量の剪定枝を処理することができる。 |
デメリット |
・松山市内から回収した剪定枝を処理するためには、市の直営施設または民間施設で大規模なストックヤードが必要である。
・葉の部分はチップ化できないため、別途処理方法を検討する必要がある。
・公園や学校で使用するチップの使用量を見積もり、過不足が生じないかを検討する必要がある。 |
先進事例 |
・東京都江東区では、街路樹や公園など区が管理する施設から排出される剪定枝をチップ化(一部を堆肥化・原木利用)している。できたチツプを舗装材として地面に敷きならすほか、学校や公園の遊具の周りに敷くことでクッション材として利用している。 |
再生品の使用 |
・チップの使用先は、公園や学校など公共施設が中心になると考えられる。 |
[3] ボード化
代替案 |
代替案3 ボード化 |
概要 |
・枝の部分を破砕・粉砕して粉状にし、固化剤を混入して固めることによって、建材等のボードに再利用する方法である。 |
メリット |
・できたボードを市の公共工事などで使用することによって、市内循環が可能である。 |
デメリット |
・端材などからのボードについては既に製品化されているが、剪定枝からのボードの製造については、研究段階であり、確立された技術ではない。
・松山市内から回収した剪定枝を処理するためには、市の直営施設または民間施設で大規模なストックヤードが必要である。
・葉の部分はチップ化できないため、別途処理方法を検討する必要がある。 |
先進事例 |
・特になし |
再生品の使用 |
・ボードの使用先は、公園や学校など公共施設が中心になると考えられる。 |
[4] 燃料化
代替案 |
代替案4 燃料化 |
概要 |
・枝の部分を破砕・粉砕・固化することで、円柱状のペレットに加工し、公民館などの暖房用燃料などとして使用する方法である。 |
メリット |
・地域から発生した剪定枝を地域単位で利用するため、剪定枝の再利用が可能である。
・できた燃料を地域で利用することによって、PR・啓発効果が期待できる。 |
デメリット |
・地域単位で利用するためには、地域ごとにペレット化設備を確保する必要がある。
・多くの処理量は期待できない。
・家庭系の剪定枝には、殺虫剤などの農薬が使用されていると考えられる。そのため、燃料には有機塩素系成分が含有されている可能性があり、燃焼によってダイオキシンなどが発生する可能性もある。 |
先進事例 |
・特になし。 |
再生品の使
用 |
・公民館などの地域単位で使用する。 |