第1章 松山市におけるリサイクルの取り組みと課題
循環型社会を目指した国の法整備の流れと、愛媛県の循環型社会を目指した取り組みを紹介し、今後の目指すべき社会のあり方について整理し、その上で、松山市のリサイクルの取り組みと今後の課題を整理する。
1 国の動向
20世紀と21世紀を結ぶ年であった平成12年には、循環型社会形成推進基本法をはじめ、循環型社会を目指して新法の制定や法律の改正が行われ、日本の環境法規制の面からも特筆すべき年となった。
循環型社会関連の法規制は図表1-1に示すとおりである。
図表1-1 循環型社会関連の法規制
[1] 循環型社会形成推進基本法
循環型社会形成推進基本法は、環境基本法の基本理念に則り、循環型社会の形成についての基本原則を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、循環型社会形成推進基本計画の策定その他循環型杜会の形成に関する施策の基本となる事項を定めることにより、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進することなどを目的としている。
循環型社会とは、廃棄物等の発生抑制・循環資源の循環的な利用及び適正な処分が確保されることによって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができるだけ低減される社会と定義している。循環型社会形成に向けて国・地方公共団体・事業者・国民の各々の主体の責務を明確にした上、事業者・国民の排出者責任を明確化し、生産者が自ら生産する製品等については、使用され廃棄物となった後まで一定の責任を負う拡大生産者責任の一般原則を踏まえて、製品の回収責任、また環境の保全上の支障が生ずる場合は、原因事業者に原状回復等の費用を負担させる措置を明示している。
[2] 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
昭和45年廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制し、廃棄物の適正な分別・保管・収集・運搬・再生・処分等の処理をし、また生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として制定された。
産業廃棄物と一般廃棄物の区別や、国民、事業者、行政の各主体の義務、産業廃棄物管理票制度など廃棄物処理に関する様々な内容を規定している。
平成12年の改正では、廃棄物の排出事業者が処理業務を委託した際に、不適正処理や不法投棄が起きた場合、排出事業者にも罰則や原状回復義務を負わせる内容となっている。
[3] 資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律)
平成3年、主要な資源の大部分を輸入に依存しているわが国において、国民経済の発展に伴い資源が大量に使用されることにより、使用済物品等及び副産物が大量に発生し、その相当部分が廃棄物されていることなどから、資源の有効な利用の確保を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、使用済物品等及び副産物の発生の抑制ならびに再生資源及び再生部品の利用の促進に関する所要の措置を講ずることなどを目的として制定された。
平成12年、わが国が持続的に発展していく上で、環境制約や資源制約が大きな課題であることから、事業者による製品の回収やリサイクルの実施等のリサイクル対策を強化するとともに、製品の省資源化や長寿命化等の廃棄物発生抑制対策や回収した製品からの部品等の再使用対策を新たに講じることにより循環型経済システムの構築を目指すため、法律の改正が行われた。名称も、従来の「再生資源の利用の促進に関する法律」から、法改正にともなって「資源の有効な利用の促進に関する法律」に改められた。
[4] 容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)
一般廃棄物の中で大きな割合を占める容器包装のリサイクルを推進するために制定された法律。容器包装廃棄物の分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化を促進するための措置を講ずること等により、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図ることなどを目的としている。
消費者は容器包装類を排出する際に分別すること、市区町村は分別収集計画を策定し、分別収集を実施し、収集した容器包装類の洗浄・圧縮・保管等を行うこと、事業者は再商品化を行うこと、という役割を明確にしている。
[5] 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)
一般家庭から出される家電製品のリサイクルを推進するために制定された法律。家電製品の小売業者及び製造業者による使用済製品の収集・運搬・再商品化等に関し、適正かつ円滑に実施するための措置を講ずることにより廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図ることなどを目的としている。
使用済家電製品(当面は、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)について、消費者は対象機器がリサイクルされるように小売業者等に引き渡すとともに収集及びリサイクルに関する費用を負担する。小売業者は消費者から引き取り、製造業者へ引き渡す。製造業者及び輸入業者は対象機器を引き取り、再商品化を実施する、というそれぞれの役割分担を定めている。
[6] 食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)
廃棄物総排出量の約4%、一般廃棄物の約30%を占める食品廃棄物の排出を抑制し、資源の有効利用を推進するために制定された法律。食品循環資源の再生利用ならびに食品廃棄物の発生の抑制及び減量に関し基本的な事項を定めるとともに、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用を促進するための措置を講じることにより、食品に係わる資源の有効な利用を確保し、食品に係わる廃棄物の排出抑制を図ることなどを目的としている。
[7] 建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)
産業廃棄物全体の20%、最終処分量の40%、不法投棄の90%を占めると言われている建設廃棄物のリサイクルを推進するために制定された法律。特定の建設資材について、その分解解体及び再資源化等を促進するための措置を講じるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図ることなどを目的としている。
[8] グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)
国、独立行政法人等及び地方公共団体による環境物品等の調達の推進、環境物品等に関する情報の提供その他の環境物品等への需要の転換を促進するために必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図ることなどを目的として制定された。