E. 安心・生きがいと世代継承力を高める生活文化創造プロジェクト
<ねらい>
若者が結婚後も住みやすく、住みたいと思える環境を整えるため、子育て支援策の充実や、現在、動きのある市民病院の建て替え、保育所・幼稚園・児童館・集会所の再編などについて、高齢者保健福祉計画や都市計画などとの整合性を図りながら、児童育成計画(エンゼルプラン)を策定し、「子育て環境」の整備を計画的に進める。
また、低廉で良質な住宅の供給が手薄であることから、旧市街地や田園地区などにおいて単身・核家族・同居世帯と多様な家族形態に対応できるよう、若者定着の居住基盤を確保するとともに、世代間交流・相互扶助の強化を図るため、コミュニティの形成や情報基盤整備などを進め、安心・快適に暮らせる条件整備と世代継承力のある生活文化の定着をねらう。
<内容>
■整備の枠組み
■整備イメージ
〔子育て環境〕
[1] 幼保・高齢者集会施設の複合整備
保育所及び幼稚園の効果的かつ効率的な配置及び運営並びに高齢者集会施設(高齢者憩いの家など)との複合化(ニーズによっては託老機能の付加も検討)を進め、バリアフリー化への対応と世代間交流のある質の高い乳幼児保育・教育施設の整備を進める。
[2] キッズルームの整備
現在、暫定的に駐車場用地として利用されているJR海南駅前の旧国鉄清算事業団用地や中心市街地の空き店舗などにおいて、ファミリーサポートセンターや一時的保育の受入施設(キッズルーム)などの整備を行い、子育て世代などの通勤利便や買物、リフレッシュ活動などに配慮した保育機能の充実・強化を図る。
[3] 住民参画型育児サポートシステムの導入
子育て援助をしたい住民を募り、自宅における預かり保育や保育所・学童保育所などへの送迎など、住民参加型の子育てサポートシステムを築く。
[4] 育児情報ネットワークシステムの構築
パソコンや携帯電話の所持率の高い若者に対応し、インターネットを介して子育てに関わる保健・医療・福祉情報の提供や育児相談、育児サークルの情報発信などを行い、必要情報の容易な入手と育児を介した交流促進を図る。
〔住宅環境〕
[5] 若者世帯が快適に居住できる住宅の供給
JR海南駅前の旧国鉄清算事業団用地や中心市街地などにおける空き地、空き家などの活用による賃貸住宅及び宅地供給、田園地区における既成の土地区画整理事業による宅地の供給などにより、20〜30代の若者の多様な世帯形態や、ライフスタイルに合わせた住宅を確保し、若者の定着を促進する。
〔コミュニティ環境〕
[6] 身近なコミュニティ施設整備と住民交流の仕組みづくり
保育所及び幼稚園の効果的かつ効率的な配置及び運営による施設統廃合による跡地や施設を、身近な公園や、コミュニティ施設として整備するとともに、地区公民館、児童館などのコミュニティ施設についても整備を進め、これらの施設において、(仮)シルバー人材センターやホームヘルパーを含む地域の高齢者などのボランティア、インストラクターなどを育成し、手業や昔の遊び、昔話など文化の世代継承や世代間交流に配慮した生涯学習プログラムや、学校の完全週5日制や、総合的な学習の導入に対応した地域学習プログラムの立案による利用促進を図る。
<推進の考え方>
まずは、児童育成計画(エンゼルプラン)を策定し、子育てニーズ調査(児童育成計画の基礎調査)の結果を含めて保育所・幼稚園など公的子育て施設の効果的かつ効率的な配置や市民病院の高度化などを部門横断的に進める。
住宅については、少子高齢社会型の住宅マスタープランを策定して官民一体の住宅政策を確立し、若者の定着を促進する。
具体的には、賃貸住宅については、民間主導型開発を軸とした特定優良賃貸住宅制度などの導入ならびに公営住宅の充実及び土地開発公社所有の未利用地の有効活用を検討し、また戸建住宅については、重根地区の土地区画整理事業や優良田園住宅制度、定期借地権制度などの活用を検討する。
参考事例:和歌山県白浜町「幼保一元化施設「白浜幼児園」の整備」
■施設整備の経緯
幼稚園、保育園の教育機会均等と少子化対応を背景に、平成4年度から町道を隔てて隣接する町立白浜第一幼稚園と白浜保育園の交流を開始。平成7年度に民生課と教育委員会にまたがる幼児対策室を設置、平成9年度より年齢別のカリキュラムを同一にして白浜幼児園として統合運営。平成13年、両施設とも築後約30年を迎え老朽化したため、白浜第一幼稚園に新園舎を建設。
白浜町では町立富田幼稚園も町内の保育園と同じカリキュラムを採用しており、幼保一元化の実践は県内初。
■施設概要
○鉄筋コンクリートニ階建て、延べ床面積1,636m2
1階(1,060.37m2):保育室(6部屋)、遊戯室、食堂、事務室、調理場、読書コーナー、保育士休憩室など
2階(575.63m2):保育室(3部屋)、一時保育室、子育て支援室、会議室など幼児園の機能に加えて急に育児ができなくなった家庭の子どもを短時間預かる「一時保育室」、園に通っていない子どもや保護者との交流を図る「子育て支援室」を常設したのが特徴。
○総事業費:約4億2,000万円(旧園舎の解体撤去など込み)
○定員(平成13年度):4、5歳児の幼稚園児30名、0〜5歳児の保育園児120名
(4、5歳児は書類上の区分のみ残っている)
資料:「紀伊民報」、「よみうり教育メール」からのまとめ。写真:(株)稗田工務店ホームページより
参考事例:長野県塩尻市「保育所の空き室利用による園児と高齢者の交流施設「なかよしホーム」の開設」
(拡大画面: 185 KB)
資料:信濃毎日新聞1991.2.21