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(3) 長崎市

1. 取組概要

[1] 景観条例
  ・「長崎市都市景観条例」(昭和64年1月施行)
   →景観形成地区等の指定、景観まちづくり地域団体の認定および表彰・助成制度、都市景観審議会の設置など。
   →罰則規定は特にない。
    第1章 総則
    第2章 総合的な施策の推進
    第3章 都市景観の形成
     第1節 都市景観形成地区等
     第2節 景観形成対象物
     第3節 大規模建築物等
    第4章 景観まちづくり地域団体
    第5章 表彰・助成等
    第6章 都市景観審議会
    第7章 雑則
    附則
■「長崎市都市景観条例」の目次構成
 
[2] 景観計画
  ・「長崎市都市景観基本計画」(平成2年4月告示)
   →景観形成の基本的考え方、テーマを定めている。
   →また、長崎の顔となる重要地区として8地区を指定し、各地区毎に景観の背景と構造、地域の動向について整理を行っている。また、本計画の策定は、景観条例(第2章)に定められている。
 
[3] 景観ガイドライン
  ・「長崎市都市景観条例」に基づいて指定された「景観形成地区」(平成14年2月現在、3地区が指定)について、景観ガイドラインを定めている。
 
[4] 表彰制度
  ・「長崎市都市景観賞」(昭和62年度〜)
   →長崎市や商工会議所等が主体。選考は、学識経験者等から成る「長崎市都市景観賞表彰実行委員会」が行っている。
   →「長崎市都市景観条例」で定められた表彰制度に基づいている。
 
[5] 要綱
  ・「長崎市景観まちづくり地域団体活動助成金交付要綱」(平成2年4月施行)
  ・「長崎市都市景観アドバイザー設置要綱」(平成5年4月施行)
 
[6] 協定
 特記すべき事項なし
 
[7] パンフ・小冊子
  ・「景観まちづくりパンフレット」「景観情報地図」(昭和63年)
   ←長崎市景観条例のPR活動
  ・「景観形成地区」に指定された地区の住民に対しては、「ガイドライン」の冊子配布を行っている。
  ・その他、冊子としては「長崎市都市景観関係例規集」「都市景観賞作品集」「長崎のまちづくり」などがある。 
 
[8] アドバイザー制度・委員会
  ・「長崎市都市景観懇話会」(昭和61年3月〜昭和63年3月)
   →都市景観対策について「基本的な考え」「早急に取組むべき課題」を提言(昭和63年)
  ・長崎市都市景観審議会」(平成元年2月〜)
   ←「長崎市都市景観条例」において位置づけられている。
  ・「長崎市都市景観アドバイザー」
   →アドバイザーは、建築物、広告等のデザイン、都市景観の普及・啓発、都市景観の形成、に関して助言・指導を行う。任期3年。
 
[9] 助成制度等
  ・「長崎市景観まちづくり地域団体活動助成金」
   対象:定期的な活動を6ヶ月以上継続している団体
   助成内容:年間20万円以内。3年が限度
  ・「長崎市都市景観形成助成基金」
   対象:個人
   助成内容:限度額20万円〜200万円
  ・その他、「長崎市都市景観条例」の中で、市長が保存のために必要と認める場合には、所有者からの申し出に基づき、建物や土地等の物件を買い取る事ができることを定めている。
 
[10] 地区指定
  ・「景観形成地区」
   →「長崎市都市景観基本計画」において重要地区として示された8地区のうち、平成14年2月現在までに3地区が「景観形成地区」に指定されている。今後、残りの地区についても順次「景観形成地区」の指定を行う予定。
 
[10] イベント等
  ・「景観講演会」(平成8年度から年1回実施)
  ・「まちづくり子どもサミット」「夜景フォーラム」など
 
[11] その他
  ・「長崎市景観条例施行規則」(平成2年4月)
  ・「長崎市都市景観助成金交付要領」(平成2年4月施行)
  ・「長崎市伝統的建造物群保存地区保存条例」(平成2年7月施行) 
  ・「長崎市屋外広告物条例」(平成9年4月施行) 
  ・「長崎市屋外広告物条例施行規則」(平成9年4月施行)
  ・「長崎港内港地区都市景観誘導基準」(平成14年度策定予定)
  →長崎市の中枢的な役割を担う長崎港周辺地域について、利用と保全の観点から、景観誘導基準を定めている。
 
2. 取組着手の経緯

いつ頃の何が契機となって景観に関わる取組に着手したのか
 
[1] 「長崎市都市景観条例」の制定まで
 全国的な景観問題への関心の高まり、長崎市内に点在する歴史的建造物の保存運動の高まりに伴い、昭和50年代後半から、景観に対する取組に着手した。
 
 昭和59年 市の「総合計画」において、「個性ある都市景観の創造」が施策として位置づけられる。(本格的な景観行政のスタート) 
 昭和61年 「都市景観懇話会」設置。これから提言を受け、都市景観対策調査「長崎景観ビジョン」を策定し、都市景観形成のための目標・テーマ、基本的な考え方を提示。
 昭和63年 「都市景観懇話会」から提言を受けて、都市景観対策調査「長崎市都市マネージメント」を策定し、都市景観形成のための具体的手法、対象を提示。 
 昭和64年 「長崎景観ビジョン」「長崎市都市マネージメント」を受けて、「長崎市都市景観条例」制定。(昭和64年1月施行) 
 
[2] 「長崎市都市景観条例」制定後
 平成元年 「都市景観審議会」設置 「都市景観基本計画」策定 建設省より「都市景観形成モデル都市」として承認され、その後平成4年まで「都市景観形成モデル都市ガイドプラン」に基づく事業を実施。
 平成2年 「長崎市伝統的建造物群保存地区保存条例」施行
 平成2年〜 「長崎市都市景観条例」に基づく「景観まちづくり地域団体」の指定を開始。平成14年現在で14団体を指定。
 平成4年〜 景観形成地区の地区指定(平成14年2月現在まで、3地区を指定) →地区指定にあたっては、地元説明会を開催。 「都市景観賞」実施
 平成9年 「屋外広告物条例」施行
 平成14年 「長崎港内港地区都市景観誘導基準」策定予定 
 
3. 取組の効果

取組によりどんな効果が現れているか。
 ○ 住民意識の高揚
 ・ 景観条例に基づき、平成14年2月現在までに14団体を、「景観まちづくり地域団体」として市より認定しており、これら団体では活発な活動が行われている。
  →条例の中で「景観まちづくり地域団体」を位置づけることが重要である。
  →「景観形成地区」に指定された地区の住民は特に意識が高い。
 ・景観に対する取組を開始した当初は、「文化財の保護」が住民の主な関心事項はであった。その後景観行政を推進していく中で、「文化財の保護」のみならず、まち全体の景観や、山・海などの自然景観に対する関心の高まりがみられた。
 ・函館市、横浜市、神戸市、新潟市、長崎市のまちづくり団体による「開港5都市景観まちづくり会議」が開催されており、住民レベルにおいて、他地域との意見交換が活発に行われている。
 
 ○表彰
 ・「都市景観大賞」(主催:財団法人都市づくりパブリックセンター)の「景観100選部門」
  →「東山手・南山手景観形成地区」(平成4年度受賞)
  →「中島川・寺町地区景観形成地区」(平成12年度受賞)
 
 ○街並み美化運動等への波及
 ・「景観形成地区」に指定された地区の住民は、全般的に景観に対する意識が高く、地区内の美化運動が行われている場合がみられる。
 
4. 改善点など

効果を高めるためにやった方が良い,やった方が良かったと考えている事項。
 
○条例化による効果
 ・「景観条例」を策定したことにより、行政指導が行いやすくなった。 
 ・市全体の施策の中で、景観施策の位置づけがはっきりするため、市内部の他部署や関係機関との連携がスムーズになった。
 
○数値的基準について
 ・「景観形成地区」に指定された地区においては、主要視点場からの眺望確保のために、景観形成基準(ガイドライン)の中で、地区内で設定したゾーン毎に建物の最高高さの基準を定めており、有効である。
 
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■「東山手・南山手景観形成地区」の景観形成基準(ガイドライン)に示された建物の高さ基準 
 
○住民意識について
 ・平成8年より毎年、「景観講演会」を行っており、市民の啓発に役立っている。
 
○市職員の勉強会等
 ・勉強会は、市内部だけでなく、地元の市民を交えて行うのが有効である。また、市以外の関係機関(商工会等)との勉強会も重要である。
 








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