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3 東京都における廃棄物行政 (東京都の事例)
― 東京都の廃棄物をめぐる5つの緊急課題 ―
 近年、都民、事業者、行政の様々な取り組みにより、廃棄物の発生抑制、リサイクルが進んではいるものの、東京都からは、なお大量の廃棄物が排出されている。
 このような大量の廃棄物の発生は、資源の浪費であるだけでなく、最終処分場の不足などの深刻な問題を引き起こしている。
 
 (1) 一般廃棄物の最終処分場の限界
 東京都の一般廃棄物の最終処分場は、直ちにひっ迫している状況にはないものの、最終処分場として使用できる空間には限界がある。区部では、都が管理運営する中央防波堤外側埋立処分場及び新海面処分場の後、東京港内に新たに最終処分場を確保することは極めて困難であり、多摩地域についても、二ツ塚処分場の後、新たな処分場を確保できる見通しはない。
 
図表1-2-11 都内の廃棄物排出量 (平成11年度)
区分 一般廃棄物 産業廃棄物
都内年間総排出量 510万トン 2,559万トン
都民1人1日あたりの排出量 1,191グラム 5,969グラム
 
 また、昭和40年代の高度成長期に整備された建築物や都市基盤施設の多くが更新期を迎えつつあり、近い将来、コンクリートなど建設廃棄物の排出が大量に増加すると予想されている。現在は、コンクリートがらは再生砕石として路盤材等に利用する方法でリサイクルされているが、排出量が増加した場合リサイクルが行き詰まることも懸念されている。
 
 (3) 不足する産業廃棄物の中間処理施設・最終処分場
 近年、廃棄物の焼却施設のダイオキシン類排出問題や産業廃棄物の不法投棄などから、産業廃棄物処理に対する住民の不安感、不信感が高まっている。廃棄物処理法の度重なる改正が行われ、都も規制指導を強化してきたが、未だに、新たな産業廃棄物の処理施設の整備に周辺住民の理解を得ることが困難な状況が続いている。
 また、最終処分場について、都が設置管理する東京都の埋立処分場で中小企業から排出される産業廃棄物の受入れを行っているが、最終処分量全体の7割強は他県に依存している状態にある。最終処分場がひっ迫し、厳しい状況が続いている首都圏については、他の地域から流入する産業廃棄物に対して事前協議制を導入する県も多くなっている。
 
 (4) 後を絶たない不適正処理
 全国的に不法投棄は社会問題化しており、その発生件数も年々増加傾向にある。都内での不法投棄が確認されることは少ないが、都内から発生した産業廃棄物が他県に搬出され不法投棄される例が見られている。また、多摩地域では野外焼却が後を絶たない。
 また、一般廃棄物についても、家電リサイクル法の施行にともない家電製品の不法投棄が増加しないよう監視を強化していくことも必要である。
 
 (5) 有害廃棄物に係るリスクの拡大
 ○ PCB廃棄物による環境汚染のリスク拡大
 PCBは昭和43年のカネミ油症事件を機に、昭和49年には製造・使用が原則として禁止されており、事業者が自らの責任においての保管状態が続いている。その後、施設の整備は進まず、保管が長期間にわたっているため、管理の不徹底や事業所の閉鎖に伴う不明紛失などが明らかになっている。
 
 ○ 感染性廃棄物、その他特別管理産業廃棄物の不適正な管理・処理
 感染性廃棄物や有害物質を含む廃棄物は、一旦不適正な処理が行われると人の健康や生活環境へ及ぼす影響が大きい。
 
図表1-2-12 「「東京都廃棄物処理計画」について―中間のまとめ―」の概要
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