7) 直流・交流・周波数・整流
電池に抵抗をつないで回路をつくると、回路を流れる電流は常に一定で、流れる向きも変化しない。このような電流や回路の電圧を直流(記号はDC)という。これに対して、家庭に来ている電気は、電流や電圧が周期的に変化し、このような電流や電圧を交流(記号はAC)という。
同じ電気なのに、直流と交流の本質的な違いはどこにあるかと云うと、これらの電流や電圧の変化をブラウン管オッシロスコープを用いて観察すると補・64図のように違いがわかる。
直流は平坦な直線のグラフであるが、交流は一定時間ごとにプラス、マイナスが逆転するような周期的な変化をしており、正弦波形をしていることがわかる。
補・64図
この交流の波形で、波が1振動するに要する時間を周期と云い、1秒間に振動を繰り返す回数を周波数と云い、ヘルツ(記号はHz)という単位を使う。日本で使われている交流の周波数は、静岡県の富士川あたりを境に東が50Hzで西が60Hzとなっており、船内で使用される周波数はほとんど60Hzである。
もし、周波数を間違えて60Hz用を50Hz用に使用すると、家庭電化製品では蛍光灯はランプが明るくなり、電流が増し安定器が発熱し寿命が短くなり、テープレコーダは回転が遅くなり、音質が低音になるが、電球やテレビは影響がなく使用できる。
モータ(誘導電動機)の回転数は周波数に比例するので回転数が下がってしまう支障が表れる。
また、交流を直流に変えることを整流と云い、家庭では通常ACアダプタを使うが産業用としては整流回路が必要でダイオードや水銀整流器を使う。
8) 電気回路
電気には電気の流れる道すじがあり、電源から電気が流れ出し、途中で仕事をして再び出発点の電源に戻ってくる、ループ(閉回路)になっている。また、電気の流れ易いところや流れ難いところがありそれを抵抗という。電源から出た電気は、モータ等で仕事をして電源に戻るループが出来ていてこれを電気回路と呼ぶ。
ところでよく「電気を使う」と云うが、この言葉から、電源から出た電流はモータ等で仕事をし、次第に電流が少なくなって電源に戻ると考えがちであるが、電気の場合は、電源から出ていく電流の大きさと電源に戻ってくる電流の大きさは等しい。電流は、回路の途中で作り出されたり、消滅したりしないと云うことが電流の特徴である。
電気回路を構成する要素はいろいろあるが、これらを図の上で能率的に示すため、図記号が用いられるので、主なものを補・65図に示す。
補・65図
9) 抵抗の接続
回路の中にある2つの電気抵抗のつなぎ方には、補・66図のような直列接続と並列接続がある。そして、抵抗をつないだあと、これを1つの抵抗と見なしたものを合成抵抗という。
2つの抵抗を直列接続すると、抵抗が1つのときより電流が通りにくくなり、合成抵抗は2つの和となる。
また、ふたつの抵抗を並列接続すると、電流の通るバイパスができたようなもので、電流の流れがそれだけスムースとなり、合成抵抗は、抵抗が1個のときより減ることになり、2つの抵抗の逆数の和のが、合成抵抗の逆数となる。
補・66図
10) 電池の直列と並列接続
[1] 直列接続
電圧を高くしたいときに用いる。
補・67図のように、一つの電池のプラス極を次の電池のマイナス極につなぐようにプラス極とマイナス極を交互につなぐ方法。この時の全体の起電力は、個々の電池の起電力の和となる。
[2] 並列接続
補・67図のように、各電池のプラス極およびマイナス極を共通につなぐ方法。この時の起電力は、1個の電池の起電力と同じであるが、電池を使用できる時間は電池の数に比例する利点がある。
[3] 直並列接続
補・67図のように、いくつかの電池を直列につないだものを、更に並列につなぐ方法で、全体の起電力は直列接続の部分の起電力で、電池を使用できる時間は並列の数に比例する。
補・67図