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3) 導体・不導体
 プラスの電気とマイナスの電気のように、異種の電気は互いに引きつけ合い、プラスの電気とプラスの電気、マイナスの電気とマイナスの電気のように、同種の電気は互いに反発し合う。
 補・59図のように絹糸の下端に発泡スチロールの小片と、アルミホイルの小片をそれぞれ結びつけたものを、電気スタンドのかさなどにスチロールでとめておき、ガラス棒を絹布で擦り、ガラス棒に静電気を起こすと、ガラス棒にはプラスの電気が帯電する。このガラス棒をこれらの小片に近づけると、いずれもガラス棒に引きつけられ、ガラス棒に接触したのち、アルミホイルは直ちに、発泡スチロールはしばらくしてから、ガラス棒と反発して離れてゆく。明らかにアルミホイルの方が、発泡スチロールよりも鋭敏な運動を起こすことがわかる。
補・59図
 アルミホイルは金属で、電気をよく通す導体で、発泡スチロールは電気を通しにくい不導体である。
 物質には、電気を通しやすいものと、通しにくいものがある。
 銅、鉄、アルミニュウムなど一般に金属は電気をよく通すが、金属以外でも炭素などは電気をよく通し、これらを導体と云う。これに対して、ガラス、瀬戸物、ゴム、プラスチックなど電気を通しにくい物質は不導体、または絶縁体と呼ぶ。固体以外では、例えば純粋な水は不導体であるが、塩分や酸、アルカリなどが溶けこむと導体になる。
4) 動電気:電流
 電気の流れは、よく水の流れに例えられるが、今まで話してきた静電気はちょうど湖沼にたまった状態で、川に流れている状態、すなわち流れる方の電気を動電気と云う。
 物体を擦って摩擦電気を起こしたとき、物体に電子が集まっている状態を「マイナスに帯電した」と云い、逆に物体から電子が去っていった状態を「プラスに帯電した」と云う。
 水は傾斜があるところでは、高い方から低い方に流れる。
 電気では、マイナスに帯電した物体とプラスに帯電した物体とを、針金などでつないだ場合には、静電気もじっとしていずにたちどころに流れ、いったん流れだした静電気は、もう普通の流れる電気と同じものなのである。
補・60図
 この場合、電流はプラスの方からマイナスの方にながれると約束をしている。つまりプラスの電気の流れる向きを電流と決めているのである。
 ところが、電子の移動で考えてみると、マイナスの帯電体にあった過剰の電子が、電子が不足しているプラスの帯電体の方に移動して、電子の過不足が埋め合わされる。
補・60図のように、電流が流れる向きと、電子が流れる向きとは互いに逆になっている。
5) 電圧・電流・電気抵抗
 更に具体的に話しを進めると、補・61図のように水の入った水槽を二つ用意してお互いにパイプを通じ、コックを開くと、水位の高い水槽(A)から水位の低い水槽(B)に向かってパイプの中を水は流れ、両方の水槽の水位が等しくなると、流れは止まる。
 この場合水を流そうとする力は、(A)の水位と(B)の水位の差、つまり「水圧」であることは明かで、水圧が高くなるほど、流れる水の勢いは強く、流れる水量は多くなる。
 電気の場合もこれと同じことが云える。
 補・62図のように、プラスの電気をもった金属球Aとマイナスの電気をもった金属球Bを導線でつなぐと、Bの電子がAに移動して行き、そして両方の電子の量が等しくなると、電子の移動は止まる。
 電気の量のことを普通、電荷とよび、単位にはクーロン(記号はC)が用いられる。
 水槽の水位に相当するものは、電気の方では電位と云い補・62図の場合、球Aの電位の方が球Bの電位より高くなっている。電位の単位にはボルト(記号はV)が用いられる。
 水槽の水位の基準は、水槽の底に取ったが、電位の基準は大地(地球)に取り、大地の電位を0ボルトとして電位を定めている。水位の差が水位差であったと同様に、電位の差を電位差または電圧と云い、単位は同じボルトである。
 電流の大きさは、毎秒何クーロンの電荷が移動したかによって表し、毎秒1クーロンの電荷が移動するとき、これを1アンペア(記号はA)の電流という。
補・61図
補・62図
 水槽のパイプの条件も水量に関係し、パイプが細ければ水が流れにくく、またパイプが長かったり、パイプの内側が凸凹してつまっていたりすると、水の流れは抵抗を受けてスムースに流れない。電気の場合もこれと同様に、導線の太さ、長さ、材質によって電気の流れる量が変わる。この電気の流れにくさの程度を電気抵抗または抵抗と云い、単位にオーム(記号はΩ)を使う。
6) オームの法則
 補・63図のように電池に豆電球をつなぎ、電池1個に電球を2つつないだ場合がA、同じく電球を1個つないだ場合をB、そして電池2個に電球を1個つないだ場合をCとすると、電球の明るさは当然AよりもB、BよりもCという具合に明るくなる。
 導体を流れる電流の大きさは、導体に両端に加えた電圧に比例し、その導体の抵抗に反比例する。
 これがオームの法則で、電気の基本法則と云われ、非常に重要な法則である。
電圧(V)=電流(A)×抵抗(Ω) (V=IR)
補・63図








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