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開会の挨拶
 
日下: 本日はお忙しい中をようこそお集まりくださいまして、ありがとうございます。とくにはるばるアメリカからおいでくださいました4人の方に厚くお礼を申し上げます。
 いまからシンポジウムが始まりますが、これは、あそこのマークの端にあります日本財団の助成を得て、こちらのマークにあります私たち東京財団が行うものでございます。
 そもそもの始まりは、いまから17年前に私がワシントンのウイルソン・センターへ行ったときでありまして、そこで、本日のパネラーをなさいますロナルド・A・モースさんと知り合いになりまして、本音の話し合いをすることができました。それが17年間続いておりまして、こういう本音の話し合いをもっと大きく広くやりたいものだと、かねて思っておりましたことが、ようやく実現したのでございます。
 本音の話し合いと申しますのは、たとえば15〜16年前のことでありますが、私がいろいろ考えた結果、「日本は原子力空母を2隻ぐらい持ったほうがいい。そのくらいのカネも技術もある」と言いましたら、モースさんは即座に「それはグッドアイデアである。4隻ぐらいつくるカネもあるだろう。ついでに2隻はアメリカヘ寄付しろ」という話をされました。もっと過激な話もあるのですけれども、そんなようなことでありまして、きょうは、そういう本音の話し合いができるような人を集めてください、自分の意見があって、どんどんしゃべる方を集めてください、ということで、アメリカの方も日本の方もそういう方が集まっていますから、さぞや盛り上がるであろうと、私は期待しております。
 この話の企画を進めております間に、9月11日の事件が起こりました。そのときモースさんは「アメリカにはニューヒーローが誕生した。いままでのオールドヒーローは、銀行、証券、ヘッジファンドで儲けた人たちだけれども、それに替わって、消防、警察、軍人がニューヒーローになっている」とおっしゃいましたので、私は「あ、グローバリズムではない。共同体の精神がアメリカに芽生えたのか、あるいは復活したのか。これは世界を覆う大きな潮流になるであろう」と思いまして、共同体の精神について、もう一度よく考える必要があるなと思ったのでありまして、きょうの話もそちらのほうへいってくれるといいなと願っております。
 日米シンポジウムといいますと、話はいつもお互いの関係のほうにいってしまいます。グッドリレーションとかイコールパートナーとか、日米の関係の話ばかりしますが、私は、それは視野が狭いとかねて思っておりまして、日米は共同体という面があって、共同で世界のために成すべきことがあるし、またわれわれ自身のために成すべきことがあるということで、日米共同体が世界のために果たすべき任務について議論ができればいいなと思っております。
 いかんせん日本はいま花粉症にやられておりまして、日本側の出席者は、私も含め、体調不良でございます。アメリカの皆さん、どうかその点も考えて、お手柔らかにお願いいたします。日本の皆さんも、時差を超えて、はるばるやっていらっしゃった方をいたわって、和気あいあいのうちに議論が進むことを期待して、開会の挨拶といたします。どうもありがとうございました。(拍手)








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