TABLE 2
タスク分析の方式の概要
1 高レベルタスク分析(High-Level Task Analysis)
ここでの高レベルタスク分析は、安全分析者 (analyst) が、特定のタスクの遂行や達成に必要な主要機能の概観を浅いけれども幅広く把握することを可能にする、タスク分析の方式をさす。
高レベルタスク分析は、以下の要領で実施される:
・ 特定のオペレーション目標を達成するのに必要なタスクに関して、システム内の全てのオペレーションを記述する
・ 通常オペレーション、緊急処置、保守及び回復手段に関連した目標の考察
この分析は、階層的フォーマット若しくは表形式のいずれかで記録される。
2 詳細タスク分析(Detailed Task Analysis)
詳細タスク分析は、以下を特定するために実施される:
・ 実施されるタスク全般(或いは仕事)
・ サブタスク
・ タスクに寄与する全ての人及びその相互作用
・ 仕事はどのように行なわれるか、即ち正常及び緊急の状況における労働慣行
・ 使用される制御、表示、ツール等
・ 実行に影響を及ぼす要因
多くのタスク分析手法があり、Kirwan及びAinworthは20以上を列挙している(1992)。彼らは、他の手法を適用するためのフレームワークとして、最も広く用いられている階層的タスク分析(HTA: Hierarchical Task Analysis)を使用することができると指摘している:
・ データ収集手法、例えば、活動のサンプリング、重大な出来事、アンケート
・ タスク記述技術、例えば、図表化やネットワーク技術、表記タスク分析
・ タスク・シミュレーション法、例えば、コンピューターを使ったモデル化やシミュレーション
・ タスク行動評価法、例えば、管理や監視のリスクツリー
・ タスク要求評価法、例えば、人間工学的チェックリスト
3 拡張タスク分析(XTA: Extended Task Analysis)
伝統的なタスク分析は、手作業のタスクの調査を目的として設計されており、例えば操船についての意思決定のような知的タスクを分析するには、それほど有用ではない。どのようなアクションがなされるかよりも、とられる決定のための根拠についての理解に、より焦点が当てられるべき場合には、拡張タスク分析あるいは他の認識のタスク分析を使用することができる(Annett及びStanton,1998を参照)。
XTAは、検討中のタスクを支持する意思決定プロセスの理論的根拠を練るために、使用される。XTA手法を構成するアクティビティーは、Johnson and Johnson (1987) に記述されている。これらを要約すると:
・インタビュー:
インタビュアーは、あるアクションの実行を可能若しくは不可能にする条件、及び条件の変化がどのようにこれらの選択に影響するかについて質問する。インタビュアーは、状況の全ての側面が考慮されていることを確認する、個人の意図を審査する。このようにして、安全分析者(analyst) は、個人が行っていること、及び、何故そして如何にして様々な状況下でそれが変わるのかについて、正しい理解を構築することができる。
・データの定性的分析:
インタビューは、テープに記録され、書き起こされた後、引き続いて分析される。定性的データを分析する方法は、社会科学の分野で確立され、最近では、安全工学の分野で利用されている。Ground Theoryと呼ばれる手法が、Pidgeon, et al (1991) に詳細に記述されている。
・適切なフォーマットでの分析結果の表現:
XTAで使用される表現図表は体系的基礎ネットワーク (Systematic Grammar Network)と呼ばれ、連想ネットワーク (Associative Network) の形式になっている(Johnson and Johnson (1987) 参照)。
・実証活動、例えば観察、仮説