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6. 結言
 4年間の研究による成果をまとめると、以下の通りである。
 
6.1 模型実験とその考察による成果
(1) マイクロバブル法による摩擦抵抗低減効果は気泡の大きさ、境界層厚さの変化に依存せず、垂直面においても低減効果が存在する。
(2) 空気膜法による摩擦抵抗低減効果は大型模型船の速度がVLCCの航行速度に近い7m/secになっても低下せず、撥水性塗料を用いると低減効果が若干増加する。
(3) 初期粗度の小さい撥水性塗料は防汚性能が優れ抵抗増加が少ない。また、自己研磨型塗料はエイジング効果により粗度が低下し、等価砂粗度の概念により実船の抵抗低減効果が推定できる。なお、弾性皮膜の抵抗低減効果は確認できなかった。
(4) 空気膜、マイクロバブルによる摩擦抵抗低減効果について実船の抵抗低減性能推定法が導出された。
(5) 実船実験による摩擦抵抗低減効果検証の可能性について調査し、空気膜法、マイクロバブル法双方とも浅喫水幅広船への適用が最適であること、痩せ型船型であってもマイクロバブル法の効果についての検証は可能であることが示された。
 
6.2 実船実験の実施による成果
(1) 推力の計測結果より、部分吹き出しや全体吹き出しでも空気流量が少ない場合に低速側で推力の減少(14ktで約4%)が確認された。空気流量が中程度になると、推力増加に転じ、高速側で推力増加が減少する傾向を示し、さらに空気流量を増やし、流量大とした場合は最高速度において推力増加低下の傾向が認められ、最適空気量の存在が示唆された。
(2) 馬力計測結果からは水面に近い部位からの吹き出しにより馬力低減と速度の上昇が確認され、同一速度に換算すると14ktで約3%、19ktで約1%の低減となる。そのほかの吹き出し方法では馬力の低下を上回る速度の低下(同一速度換算で馬力の増加)、高速域での馬力増加率の低下などが認められ、最適空気量の存在、バブルの巻き込みによるプロペラ効率の低下等が示唆された。
(3) 局部摩擦応力の計測結果からは、気泡放出部より15mほど下流の垂直に近い船側部であっても検出部に気泡が流れてきたときは20%以上の摩擦力低減効果のあることが確認された。なお、その他の計測位置では摩擦力の低下は認められず、むしろ摩擦力の増加が計測された。
(4) 推力、馬力、局部摩擦力の計測結果より、気泡の吹き出し方法を誤ると抵抗増加になることが確認された。
(5) 水中カメラ、ボイド率計の計測結果からは、境界層内のマイクロバブルの存在が確認され、大型模型船による計測結果より外側に気泡が分布し、摩擦低抗低減効果の少ないことが示唆された。
(6) 接着法による計測機器の取り付けは手軽であり、十分な強度を有するため、実船実験に有用であることが分かった。
 
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図2.1.1 マイクロバブル実験用小型高速流路
 
 
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図2.1.2 局所せん断力の低減と平均ボイド率(U=7m/s)
 
 
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図2.1.3 局所せん断力の低減と平均ボイド率(U=7m/s)
 
 
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図2.2.2 50n平板船における全抵抗低減効果
 
 
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図2.2.3 摩擦低減効果の流れ方向分布
 
 
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図2.3.1 流れ方向圧力勾配の影響による摩擦抵抗低減効果
 
 
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図2.3.2 曲面形状の影響による摩擦抵抗低減効果
 
 
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図2.4.1 平均ボイド率と塵擦抵抗低減率
(垂直壁面、Vw=10.0m/s)
 
 








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