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A造船(新造、修繕)
 
1. 組織
・ 技術職と技能職の区別はない。管理職が技術職を兼務する。
・ 直接工の組織は工務部で統括、内業工場、造船課、造機課、修繕課に分かれる。
・ 本工は、進捗管理中心と係技師である。
 
2. 職種別技能者数
・ 一括請負のスポット業者としてバラストタンク塗装、木艤一括、タイルテックスの3職種がある。
・ 協力工は250名から300名。
・ 工程遅延あるいはピーク時は、ブロック外注で回避。
・ 直接作業は一部を除き(NC切断機オペレータなど)全面的に協力業者。
・ ピーク時に新造が修繕を応援するのが通例当然であったが、現在は逆に修繕が新造を応援するという形に変化している。
・ 船殻内作人員:鉄工=2人、グラインダ=4人(専用機操作含む)、溶接=3人(歪取り含む)。
・ 船殻地上人員:鉄工=8×2班=16人(1業者)。
・ 船殻現場人員:2組×5人=10人。
・ 塗装人員:一般塗装は6人(1業者)→ピーク時は業者が孫請け応援を呼んでくる。
・ 機関仕上げは全員協力業者、甲板(4人)+機関(20人)。
・ 船渠係は本社(6人)
・ 修繕船工事人員は船体部が本社直接工5名、下請け4名、担当技師2名。機関部が本社直接工0名、下請け20名、担当技師2名。
 
3. 職種別作業内容
(1) 現図関係
・ 現尺:ベルマウスのみ、曲型作成。
・ マーキング:裏だしマーキング、墨あげ中心(文字はNC罫書き)。
・ 一品図作成は「生産設計」で計上。
(2) 船殻内作工事関係:加工〜小組
・ 小物部材(カラープレート、Bkt等)切断:型切り機使用、本工1人。
・ NC切断工が、材料搬入、搬出、部材整理すべて行う。
・ 曲げ加工(外板):プレス+熱曲げ。
・ 配材・運搬:トレーラ運転手2人。
(3) 船殻地上工事関係:大組立
・ 一般グラインダ作業:3業者。
・ 研磨仕上:SUS専門グラインダ業者。
・ 本墨切断:SUSのコルゲート切断(鉄工職)。
・ T1G:専門溶接業者(専門職3人常駐)、カラーチェック、手直し作業含む。
・ 歪み直し:地上工事では稀、もしあれば前工程瑕疵として内業の撓鉄業者が施工。
・ ユニオン作業:板継ぎ、溶接含む(SUS含む)。
・ ガウジング:専門職はいない(溶接職が施工)。
・ SUSのBHD :これまでの外注先がなくなったので新しい業者探している。
・ 配材・運搬:ブロックヘの部材配材、ブロック移動(鉄工職の棒心の作業)。
・ 配管:一品は原則全量外注。構内は最小限に止める。
(4) 船殻現場工事関係:
・ 船台の鉄工はブロックの受け取り、位置決め、固め、盤木の設置までの複合職である。
・ 盤木・進水工事:本工の専任2人が指揮する。
・ ブロック搭載:鉄工職が兼任(2人)。
・ 歪直し:鉄工職(専門職ではない)。
(5) 塗装・テックス・衛生工事
・ テックス→長崎船舶装備に上構内装含め一括外注。
・ バラストタンク内塗装 →一括外注塗装。
(6) クレーン・運搬・掃除・足場
・ 掃除:ブロックだけの掃除職あり(ブラジル人)。
・ 水張テスト等:工務(検査または諸試験で計上)。
・ 足場:専門職、曲がりブロック足場も兼務。
・ 高所作業車:足場職無関係、鉄工、溶接職が操作。
・ 運搬:修繕船の積込み、積下ろしで、新造にはない。ただし、ポペットの受け冶具の取付、溶接は鉄工と溶接職。
・ 進水作業:進水台作業、運搬職兼務
(7) 間接配賦工事
・ 電気保安:電力管理。
・ 工具庫(機械加工)。
・ 倉庫係兼務でフランジ切削加工など(旋盤、ボール盤設置)。
・ 修繕専属職種:鉄工(溶接含む)、仕上げ(甲板、機関の区別はない)、船渠
・ 木工、電気、塗装、掃除は新造と共同。ただし、実際には修繕専門に配属。
 
4. 標準作業書
・ 特になし。
 
5. 雇い入れ基準
・ 原則として、補充のみだから1〜2件/月程度。
・ 鉄工、溶接は原則、玉掛講習、安全講習受講義務づけ。
・ 協力会社に対しては、職歴、健康診断書の提出を求めている。
 
6. 技能レベル判定基準と考課基準
・ 本社としては協力工に対しては「特に何もしていない」。ただし、技能レベルによって業者単価の差はつけている(個人レベルの単価差は不問)。
・ 職歴、健康診断書の提出を求めている。
 
7. スポット工採用有無と職種
・ スポットといっても、かってここにきた人が多く、技量などは暗黙の了解があるので名指しはしていない。新顔はいない。
 
8. 技能雑持・向上と教育訓練
・ 協力工中心の作業では、技能伝承は難しい。優秀な人間が育つ環境が失われつつある。
・ コスト負担をするユトリ(造船所、協力企業とも)もなくなりつつある。
・ 協力工の技能向上に対しては、特に施策ない。ただ、腕の悪い者がまぎれこまないように協力会社にプレッシャはかけている。
・ ただし、腕の良いものばかりでは仕事はしにくい。ベテランと先手の組み合わせが肝心。修繕などでのクラック発生の現場をみせて反省、自覚を促すなどしている。
・ 本工に対しては新入社員に因島訓練所で研修を施す。今年は、高卒1+大卒3人を派遣した。
・ 研修終了後はジョブ・ローテーションを行う。
・ 他部門の仕事の内容を知っておく必要ありとの考えで3ヶ月ピッチでローテートする方針。
・ 長い目で見ると、工長養成が必要。
・ 設計15名には、本部長、次長、殻、艤、機、管、計画の長と担当が含まれてそれに加えてCAD要員がいる。従来の現図の大部分の仕事は設計の3次元CADに移っている。
 
9. 外国人労働者に対する考え
・ 外国人労働者は以前中国人の研修を受け入れていたが、現在はブラジル人が掃除の組として入っている。
・ 外国人の採用は大なり小なり採用拡大の方向ではないか。日本人が敬遠する職種、作業を熱心に品質よく施工してくれる外国人グループは増えるのではないか。
・ 中国人(4人)は研修制度で受け入れていたが、2年、3年となれば保険や管理で方式を考えなければならない。
 
10. 雇用流動化に対する考え
・ 特に流動化の必要性は認めていない。現在、人員、仕事量ともほぼ固定している。
以上








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