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H造船(新造、修繕)
 
1. 組織
・ 組織は内業課、船殻課、艤装課、管理課に分けている。
・ 本工はすべて管理業務で、作業は全面的に協力会社に依存。
・ 本工は43名でその中に、係技師、NCオペレータ、クレーン運転、仕分けも入る。
・ ブロック検査の外注分は管理課で検査。品質検査は品質保証課(ISO9000関連で管理課から別の独立組織で検査することになった)。
 
2. 職種別技能者数
・ 常駐業者:計28社。規模は職種によっては4人位の組もある。
・ 協力工人員:216人(スポット工は含まず)。
・ 内業課業者:現図、マーキング、曲げ(撓鉄、プレス、フレームベンダ)、カッティング部材手切断も業者。
・ 船殻課業者 → 鉄工(歪取り、面取り含む)、電気溶接(ハツリ・ガウジング含む)
・ 艤装課業者:仕上げ(造機)、配管、機関艤装(据付)、配線、塗装(2組、修繕と共有)、掃除(廃油処理中心。その他の一般掃除は各課所掌;修繕船と共有)、甲板艤装、防熱・空調(スポット)、電装は渦潮電気(湾内造船所はほとんど渦潮)。
・ 管理課業者 → 盤木、進水作業、入出渠、動力、足場、運搬(クレーン運転は本工)、NC切断は本工、ジブクレーン運転 → 本工(協力工は天井クレーンの一人だけ)
・ 高所作業車:各課所属の業者の実務作業者が操作(例;溶接、塗装)。
・ 撓鉄:6人(含むプレス2台の操作)移動ラム式プレス+コンベア、条押しプレス1台、長手トーチ、シャープガス使用。点焼きあり。
・ 鋼材置場:2人(1人は本工、1人は協力工)。
・ 現尺現図:5人で線図、一品型取り、曲げ型作製すべてこなす。
・ 業者の統合化は無理と思う。
 
3. 職種別作業内容
・ ドラフトヤーク:現図は本工、取付は艤装の業者
・ 補機台は、溶接業者が鉄工まで兼ねて施工。
・ クレーン下:本社管理課所掌で、クレーン運転と交替勤務。
・ 船台盤木配置:船台木工職
・ 鋼製ゴミ箱配置・回収・廃棄:中間業者。
 
4. 標準作業書
・ 特になし。
 
5. 雇い入れ基準
・ 履歴書、診断書提出を求め、担当課長が面接し入門可否決定。
・ 安全教育とガス、アークの資格の確認をする。未受講ならば、取得を確約させる。
・ 受講記録を残し、基準監督署むけ書類を残す(雇い入れは事業主責任。本社としては入門許可証を発行)。
・ 人の手配は、協力業者任せだが、協力会社の経営者も2代目世代で人手配のネットワークがなくなってきているので、造船所間で連絡を取り合うときもある。
・ 湾内は特殊な雇用形態。業者が湾内全体を見渡して、人の出し入れをしている。ただし、最近、熟練工は造船所に固定するようになった。動くのは、先手クラスが中心。
・ 湾内の熟練工(仕上げ等)は稀少だが、未熟練工はそこそこにいる。
・ 県外からの通勤者はいない:コーティングなどは渡り職人べ一スなので別。
 
6. 技能レベル判定基準と考課基準
・ 技能レベル(能力)査定は業者任せで、本社は特に何もしていない。
・ 特殊技能職種でも単価差はほとんど設けていない。
・ 現図、撓鉄、仕上げなどの優遇措置なし。
 
7. スポット工採用有無と職種
・ スポツト業者の範囲は防熱・空調、タンクコーティング(昔は、長崎に回航して中田組で実施)、床舗装、木艤(木工)。
・ スポット工市場の創成について、現状では、不便を感じていない。
・ 湾内造船所は、作業は業者一括発注傾向(本工はいない)であるが、将来、問題が生じるだろうか?(「これからは人の確保如何が大きな問題」との意見もある)。
 
8. 技能維持・向上と教育訓練
・ 技能教育について本社採用の技術スタッフにもガス、溶接を教え、管理監督ができるよう気をつけている。
・ 監督・指導力の維持も大きな問題となるだろう。
・ 本工(他社の係技師に相当)は共同技能訓練所を創設して派遣せざるを得なくなるのではないか。
・ 本工は係技師がOJT主体で育てる。本来、業者・監督官に育てられるものと考えている。
・ 業者も「小棒心+先手」で技能レベルは間違いなく低下しつつある。
・ 鉄工、溶接工の技能向上策は必須。技術者養成しかり。
・ 技能教育については下請け経営者も初代は腕自慢だが、現在の2代目では身体を張って気迫と技量をもっている業者が少なくなった。業者でも技能職の養成はできないだろう。
・ 教習所へはたとえ費用負担をしても、派遣する業者はいないのではないか。
・ それだけ余裕がないことと、免許をとると辞められるのを恐れるのではないか?
・ 自費で長期技能講習に参加させるような業者はいない。
・ 一括発注の対象になる業者は大きいので技術的にも自前で養成するから心配はない。
・ 必要な免許取得費用は業者もちだが高所作業車運転免許講習会費用:6〜7万円、クレーン運転でも4〜5万円と高いのが、規模の小さい業者にとっては負担に耐えられないようだ。
・ ブロックの外注率90%強なので、外注先の人の問題に工程が左右されるのではないかとの心配もある。
・ 標準化(部材等の形状の設計標準、工程等など)を推進すべし。
・ 技術力、創造力、結集力をうたっているが、実態は何もかも下請け依存のため、実効が得にくいようだ。
 
9. 外国人労働者に対する考え
・ 外人労働者はいない。すべて下請け依存のため、考慮する要なし。
 
10. 請負条件等に対する考え
(1) 請負条件
・ 単価面は、かっては「よくもめた」(業者が強い)。現在は、採用側が優位。
・ 工具類は協力会社もち(例;キャブタイヤ、保護メガネ、フィルタも業者もち。溶接機本体は会社持ち)。
・ ガスホース、キャブタイヤの補修も所有業者の責任で行う。
・ 前工程の瑕疵は、後工程の業者から追加要求あるが、認めるかどうかは課長判断。
(2) その他
・ 給料を世間並みに出せるようになりたいと感じている。
・ 人づくりは小さい時から心がけようと、造船PR策の一環として湾内造船所では小学生を進水式に招待。
以上








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