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ソロモン諸島
 
[1] 提出資料
[2] 主な問題点
1) 荷積み、荷揚げに関する問題。社会不安。
 
この後、プレゼンテーションに対し質疑応答に入った。主な質疑は以下のとおり。
 
質問1
 船舶が故障した場合、船舶を修理・補修する部品を注文するのか、それとも新しい船舶を購入するのか?
回答1
 修理・補修部品の供給に要する時間は、船が乾ドックする場所によりことなり、問題が生じる。船舶の乾ドック場所がオーストラリアの場合だと、部品を入手するのに数ヶ月かかることがある。
討論
 本質疑応答についてはオセアニア各国共通の問題でもあるため、他のオセアニア諸国に確認したところ、ほとんどの補修部品を日本へ注文していると述べた。
 
ソロモン諸島独立国家(プレゼンテーション資料)
国別報告書
(日本/オセアニア造船会社会議−2001年11月12日、シンガポール)
 
B. 序
・ソロモン諸島は、東経155度30分から170度30分、南緯5度10分から12度45分の間に位置する。山の多い6つの主要な島々と、群島のような形で広く散らばり、主に南東方向におよそ1667ルームの長さにわたって延びる低地珊瑚環礁で構成されている。同国は、最北西端でパプアニューギニアのブーゲンビル島に、最南東端はバヌアツ共和国に隣接している。
・ソロモン諸島の合計国土面積は28,369平方キロメートルで、これが1,632,964平方キロメートルの海域に囲まれている。
・1999年国勢調査によると、ソロモン諸島の総人口は410,000人であった。
・地方自治体レベルでは、同国は国内的には州とみなされる9つの行政グループに民族的に区分されている。これらの州は、基本法に基づき中央政府の合意により委譲を受けた機能を果たしている。
・主要な民族構成は、メラネシア人(94.5%)、ポリネシア人(3%)、ミクロネシア人(1.2%)、ヨーロッパ系(0.2%)、中国系(0.1%)、その他(1%)である。
・全国総人口のうち正式に職についている者は、せいぜい7%である。残りの国民は、村落に住み、雇用機会は非常に少ない。
・ソロモン諸島の経済は、魚類および魚類加工品、コプラ、カカオ、ヤシ油、丸木、未加工のサワ木材、および金である。
・ソロモン諸島は現在、2年にわたる「社会不安」によって麻痺し、悪化する経済と折り合いをつけるべく苦心している。この社会不安により、産業の中心的存在であった人々−多くは外国人−が突然出国する結果となったためである。
 
C. 運輸土木通信省
・基本的に、運輸土木通信省が、今日の政府の計画やプログラムを策定、調整および実行する職務を遂行する管理責任を負っている。
・この点で、経済領域の運輸、土木および通信セクターに関する関連政策およびプロジェクトは、これにしたがって考案および実行されている。
・同国歴史の初期において(独立前〜1978年)、同省の全般的な焦点は、「運営者」であると共に「規制者」でもあるというものであった。この意味で、同省は、規制のメカニズムを確立すると同時に、運営のための影響力を働かせていた。最近は、民営化/企業化の圧力の高まりにより、「運営者」たることをやめる方向へのシフトが実現した。同時に、政府筋において、外注/アウトソーシングの魅力にはずみがついている。
・効果および効率を高めるために、同省は、その職責機能を反映した6つの主要部門に分割された。
・運輸セクターにおいては、次の3部門がある。
− 海上輸送および海運サービス部門
− 陸上輸送部門
− 航空輸送部門
・通信セクターはそれ自体が1部門で、以下に責任を負う。
− 周波管理
− 電気通信
− テレビ
− 情報技術
・土木セクターもそれ自体が1部門で、以下に責任を負う。
− 建築建設サービス
− 積算
− 都市部上水道
− 技術サービス(設計)
・全ての部門は、同一の企業サービス部門(組織の最後の部門)を共有する。
・現在、同省のスタッフ水準は大幅に減少しており、これは第一に経済の凍結のためであるが、第二のより重要な原因は、全般に省内だけでなく国内に資格および能力のある専門職員が不足していることである。
・総労働力として、153名が主要スタッフとして雇われるにとどまっている。
 
D. 海事政策(過去のシナリオ)
・歴代政府は、伝統的のみならず現代の環境においても海上輸送が担う役割が非常に重要であることを常に認識し、海上輸送を改善する数々の短期戦略を発動させてきた。こうした気高い事業の成功の度合いは、最小限であったことが明らかになっており、しかも差別的なものであったとみなされている(中心部の島々に有利と思われ、離島を無視している)。
・海上輸送をソロモン諸島の主要輸送機関として促進しようという歴代政府の真撃な試みを手短に要約するが、これらは数々の非常にもっともな理由により、失敗した。
・同国の植民地時代、主として島間および島内海運サービスを島々に提供するために、海上輸送および海運サービス部門(旧名:海事部門)が設立された。同部門は、政府の船隊を監督し、これを運営した。航海士太平洋(船員)証が得られる船員訓練学校も設立した。30隻からなる船隊は、500GTの船舶が旗艦として率いていた。
・80年代末から90年代の初めにかけて、同船隊は資源消耗的であることがわかり、処分を余儀なくされた。
・企業化政策のもと、船隊の指揮をとり、利益を出すために、ソロモン諸島海運会社が設立された。
・90年代半ば頃、同社は採算が取れないことが明らかとなった。利益の上がらない航路を運航しなければならないため、同社は巨額の間接費がかかり、最終的には解体を余儀なくされた。
・島間航路に船舶を実際に運航させるという圧力に応じた政策は、木造船の建造を奨励するというものである。
・木造船の建造はわずか5年しか続かず、90年代初期には最終的に棚上げされた。
・造船の実行に加えてソロモン諸島海運会社が失敗したのに続き、新たな政策が導入された。これには、州政府に財政援助を与え、島間航路の運航に対する需要の増加に応えるために海外より船舶を調達できるようにすることが含まれている。
・これまで、改装船舶の調達が進められており、日本、韓国およびロシアから購入した。ソロモン諸島ではこうした船舶が現在合計9隻運航しており、平均総トン数は1000GTである。
・上述の期間に、無償援助に基づき日本政府が、ソロモン諸島政府に1000GT以上の巾着網漁船2隻と総トン数約200の旅客/貨物船5隻を提供した。これらの船舶は処分され、現在は民間船舶会社の下で運航している。
・事実、ソロモン諸島は、80年代初期に国際海運業に挑戦している。同国は、パシフィック・フォーラム・ラインの創設メンバーの1つである。しかし、国内での財政上の制約により撤退を余儀なくされ、以来、同国は、未だその姿勢の検討に至っていない。
・上述では、歴代政府が着手した真撃な試みをハイライトしているが、今日までのところ、実行可能な打開策には至っていない。エネルギー費が、輸送部門の開発戦略における主要な制約要因の一つであると思われる。
 
E. 港湾
・国際海港
 ソロモン諸島には国際海港に指定された港が3ヶ所ある。これらは全てソロモン諸島の中部および北西部地域の間に位置している(ホニアラ港の西)。ガダルカナル島のホニアラ港はソロモン諸島の主たる通関港で、首都に位置している。
 ニュージョージア島のノロ港は、同国のウェスタン州に位置しているもう1つの通関港で、主として魚類および魚類加工品の輸出港として利用されている。(ソロモン唯一の缶詰(魚類)センターは、当初、大洋(日本)とソロモン諸島政府の合弁契約G10G10に基づき開発され、その後マフル(日本)およびソロモン諸島政府に引き継がれた。)
 セントカレ州地域に位置するラッセル島のヤンディナ港は、かつて主要なコプラ輸出港であった。ユニリーバの退去により、港湾施設は現在、通関港として利用されることはほとんどない。
 ホニアラ港は、国内便・国際便両方の貨物・旅客移動の60%以上を扱っている。
・島間/島内用埠頭/桟橋
 こうした小規模な船舶用基礎設備は、島間および島内の貨物/旅客移動に供している。ソロモン諸島の全主要島のほぼ40%が、平均で総トン数200までの船舶を停泊させられる桟橋を1つか2つ持っている。残りは、より小さい小型船(ディンギーやカヌー)を使って積込/積降を行っている。
 
F. 船舶修繕施設
・全般
 植民地時代は、実際、老朽化した船舶団と、地域では認められた船員訓練学校、および老朽化した船舶修繕施設(船架/ドック)を後に残した。
 先に述べた期間(80年代末/90年代初)の頃、修繕施設も資源消耗的であるのがわかり、処分を余儀なくされた。実際、これは処分第1号で、80年代初期に民営化された。
・政府所有の民間会社ササペ・マリナ(ソロモン諸島)リミテッドが、以来この施設を運営してきた。同施設は、セントカレ州地域のンッゲラ島のツラギに位置している。
 同施設は、それぞれ総トン数300GT、200GTおよび100GTの収容能力を持つ3台の船台で構成されている。船台は最小30メートル、最大40メートルに過ぎない。この構成を完成させるのが、2基の水上修繕用桟橋である。その他の関連付属設備として、2600mmの平板、250mmの裁断機および容量200トンのプレスがある。同修繕施設は、最大全長30メートル、300GTまでの船舶を上架できる。同施設は、救命ボートの修繕サービスも提供している。
・その他、開発中の民間所有施設が4ヶ所、現在営業されている。2ヶ所はンッゲラ島(ツラギ東部)に、残りの2ヶ所はウェスタン州地域にあり、1つがギゾ島に、もう1つはヴェラ・ラヴェラ島のリアパリにある。
・ソロモン諸島は、その地理上の戦略的位置を考えると、船舶修繕部門の商業開発に将来性があることを概念として受け入れているが、その実行可能性に関する詳細な議論は、今までのところ進められていない。
 
G.船主
・政府
 航海支援維持の目的のみのために中型陸揚船(総トン数300未満)2隻を保有するのみ。(国際水準を回復するために、ソロモン諸島が技術支援と資本投入を必要とする分野である)
・民間/商業用
 合弁水産会社であるソルタイ・フィッシイング・フィッシュプロセッシング、Co.Ltdとナショナル・フィッシャリー・ディベロップメント、Co.Ltd.の2社が、同国では群を抜いて大きな船主である。木造船船主は47%を超え、これらは民間の企業家である。ソロモン諸島籍船舶の残りの2%は、各州の所有である。(マライタ州−3隻、ウェスタン州−1隻、イサベル州−1隻、チョイセウル州−1隻、テモツ州−1隻、ペンネル・ベロナ州1隻)。これらの船は海外で購入された総トン数300から1032のものである。
 
H. 結論(現状)
・全般
 本報告書は、全般的に、文字通り嘆くべき状況を表しているかもしれないが、それにもかかわらず、窮境を明らかにし、それによって最終的に前向きな議論を進めることができることを意図するものである。
 こうした背景のもと、ソロモン諸島が直面する現状と、状況改善を求める同国の決意に注目したい。
・ソロモン諸島は、同国がグローバル社会における後発開発途上国の1つであるという状況を忘れたことはない。
・現在、同国政府が、「社会不安」をもたらしたもののニュアンスを認識した上で紛争当事者の戦闘活動に前向きに介入し、オーストラリアおよびニュージーランド政府の寛大な支援を受け、2000年10月、オーストラリアのタウンズビルにて正式に和平合意を確保した事を発表するのは喜ばしいことである。
・和平プロセスは前進しており、紛争当事者間で不断の交渉が行われている。
・この「社会不安」の余波を受けて、新たな分子が現れてきた。これらは緊迫した状態を利用して収穫を得ようとする犯罪分子である。治安状態は「社会不安」前のソロモン諸島と同じには見えないかもしれないが、それにもかかわらず、同国に通常は治安が戻ってきたことを確信している。
・かつて(産業の)中心的役割を担ったあらゆる人々や投資希望者に対し、ソロモン諸島は彼らを迎え、同国がより幅広いグローバル社会に発展するための努力を支援する用意ができていることを打診している。
・国政総選挙が来る2001年12月5日に行われることが発表された。
・ソロモン諸島は、同国開発パートナー達の関心の重大さを認識しており、今後も民主主義の原則に基づいて物事が決定され、容認可能で健全な経済および金融慣行が維持されるようにとのパートナー達の真撃な協力に感謝している。
・今度の選挙において、立身出世ではなく実力ある指導者が戻り、同国を以前の純朴なハピ小群島(‘Hapi Isles’)に戻してくれることを、ソロモン諸島の一般住民は真剣に祈り、希望している。
 
・海運サービス/海運業
・ソロモン諸島は、海運業/海運サービス・セクターの未だ潜在したままの将来性を形あるものにするためのあらゆる貴重な投資活動を歓迎する。
・現在、ソロモン諸島ホニアラにオフショァ船舶登記簿を設立する可能性が模索されている。主登記簿だけでなく、船舶賃貸契約登記簿としても記録するかどうかも、まだ検討中である。これまでに決まっていることは、この登記簿がカテゴリー1登記簿となることである。
・ソロモン諸島に中規模(medium range)の乾ドック施設を設立することの実行可能性を模索するとの意向が発表されている。関心のある者は、その関心を明らかにして提出することが間もなく求められるものと思われる。
・現在、国際海事機関(IMO)に対し、ソロモン諸島が「ホワイトリスト」に入れるよう正式な提案が出されている。
・ソロモン諸島は、1998年海事法を導入したが、これは、認定された海事条約に参加する権限を、同国に事実上与えるものである。
 
サム・マエザマ
ソロモン諸島ホニアラ、
交通土木通信省事務次官
 
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(7) 日本の政府開発援助(ODA)に関する概要
JETRO SINGAPORE山?が、別添資料を用いて説明を行い、ODAは日本政府が問題をかかえる国々に提供する支援策の1つであると強調した。
 
12:30 全体会議閉会
 JETRO SINGAPORE山?が個別会議等今後の予定について説明した後、全体会議の閉会を宣言した。
 記念品の贈呈及び記念撮影を行った後、場所を移動し昼食とした。








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