第2回ユニバーサルトイレ研究会
参加者
※委員・事務局を除く。敬称略、順不同。
渡会有子 (ウエルエイジングハウス研究会21)
森登美江 (視覚障害者労働問題協議会副代表)
稲垣豪三 (オストミー協会)
結城玲子 ((株)クラフト デザイン設計室)
小林康 (社会福祉法人日本身体障害者団体連合会事務局長)
小口真紀子 ((社)日本観光協会調査企画部研修・整備課課長代理)
狩野公伸 (国土交通省総合政策局観光部)
中村途美子 (全国福祉研究会ハンディホイラーの会)
岩崎比奈子 ((株)ジェイティービー観光計画部)
長嶋周子 (全国福祉研究会ハンディホイラーの会)
高嶋弘明 (東陶機器(株)営業開発部)
■参加者のコメント
《稲垣》
排便障害を持つオストメイトにとって「トイレ」は最大の関心事である。然るに従来、プライバシーの問題もあり、公共および家庭内のトイレについて議論がなされていなかった。
昨年成立した「交通バリアフリー法」の制定に伴い、ようやくオストメイト対応トイレに関する検討が行われるようになった(新ガイドラインの制定)。
オストメイトは、通常、便器に座って用をたさない。基本的には、便を処分する汚物流し台、温水の出るシャワーがあればよい。しかし、公共トイレでは、スペース、予算額の制約がある。コンパクトでコストの安い製品開発が望まれる。
一方、便座が自由に上下できるとか、従来の固定観念に捉われないトイレの開発も望まれる。
最後に、オストメイトは概観では判別できないので、オストメイトも気軽に使用できるよう、入口の表示について配慮がほしい。
《結城》
二次製品としての公共トイレを企画制作している立場として、現在「みんなが使えるトイレ」が浸透しつつあるのを感じる。車いすで使える便器がついていることはもちろんだが、ベビーベッドや小児用小便器、多目的流しなど、いろいろな要素が必要になってきている。しかし要素をすべて盛り込むと、広い面積と予算が必要になってくるので、効率的で現実的な金額のトイレが求められると思う。
一つですべての人を満足させるトイレは、ほとんど不可能であり現実的ではない。立地条件、予算に応じたきめの細かい対応をすれば、理想に近い形になると思う。設置者は機械的に判断せず、使用者のニーズに合わせたトイレを計画することが大切であると思う。マニュアルは一つの指針でしかない。
現段階では多目的トイレの普及率は上がってきていると思う。予算がある場合は、男子トイレ、多目的トイレ、女子トイレの3棟タイプが理想的で、できれば多目的がさらに男子と女子に分かれているのがベストだと思う。しかし、プランニングをしたことはあっても、現実化したことはない。トイレも公共事業削減のあおりを受けていると感じる。そうした状況で現実的なものは、1棟で多くの要素を盛り込んだトイレになるのかもしれない。しかし車いす利用者は、狭くてもいいから数多いブースが設置されることを望んでいる。そういった発想はマニュアルからはずれており、通用しにくいのが現状だと思う。