公共トイレのバリアフリー化やユニバーサルデザインの導入については、これまでは特に法律で規定されてはいませんでした。しかし、昨年12月に「交通バリアフリー法」が施行され、今後10年で、トイレのバリアフリー化を進めることが義務づけられることになりました。なお、公共の場でのバリアフリー化については、これまでに「ハートビル法」(正式には「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」)が定められ、不特定多数の人たちが出入りする建築物を対象に推進されてきました。
●行政ではどこの部署で公共トイレを整備しているか
次ぎに、公共トイレの設置主体について見ておきましょう。
街なかの公共トイレなど、行政が整備しているトイレの大部分は市町村が整備しています。一部に、国土交通省が道路沿いや港に、農林水産省が農業施設にトイレを作ったりしています。学校に国立、県立、市立があるのと同じようなものだと考えればわかりやすいのではないかと思います。さらに、私立の公共トイレもあります。
ところで、公共トイレの大部分を設置している市町村では、どこの部署で設置を担当しているのでしょうか。実は、トイレを設置する施設により、それを行う部署は異なります。つまり、省庁が各自管轄ごとに設置しているのと同じように、市町村では、その施設を担当している部署が、トイレも作っているのです。市道は道路課、都市公園は公園課、運動公園は教育委員会、観光施設は観光課、街の衛生上必要とされる場所は衛生課、といったように様々な部署で公共トイレを設置しています。
次ぎに紹介するアンケートの、回答を得た部署を整理した表があるので紹介しておきます。同じ自治体の中でも、実に多くの部署でトイレを作っていることがわかります(表1)。