(3) 一般公共トイレとの連携課題
我が国では近年になって、続々と多機能トイレの設置個所が増加しています。特に都市部においては、トイレが見つからないという、障害を持つ人や高齢者の不安も解消されつつあります。しかしながら、欧米と比べれば、これまで利用者が少なかったためか、まだまだ設置個所が足りないというのが実情です。この点については、実際に海外からの訪問者に指摘を受けてもいます。また、各地に「車いすトイレマップ」というような特別の情報が必要とされることも、見方によれば、トイレ不足の現状を物語るものだといえるでしょう。
1992年に施行されたアメリカのADA(障害を持つアメリカ人法)のアクセシビリティ・ガイドラインでは、一般公共トイレで6個以上のトイレスツール(便器)がある場合、そのうち1個以上について、便房内スペースを広くとり、手摺りをつけ、車いす利用者にも利用可能にすることを義務づけています。このガイドラインのためか、アメリカでは、車いす利用者がトイレに困ることは、ほぼなくなったということを聞いています。
我が国においても、多機能トイレという「フル整備」のトイレと一般トイレの間に、簡便な車いす対応便房を設置して併用することにより、利用者の利便性はかなり向上するものと思われます。そのための基準作りも、ユニバーサルトイレの課題の一つといえるでしょう。この併用プランのモデル例として、図1を掲げておきます。