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したがいまして、ここには多くの歴史的な背景が刻まれています。それから、アモアには総合的な学習に関連したノウハウの蓄積があって支援体制も整っている点が挙げられます。先ほど地域との交流に力を入れていると申し上げましたが、開館したときから、体験参加型のグループ学習、ワークショップと呼んでおりますが、これを月に2回ないし3回、既に八十数回、1万人以上の方が参加しておりますが、このテーマが観察、調査、実験、フィールドワーク、物づくり、それから、もろもろの学習、そういったものをずうっと積み重ねてきておりますので、総合的な学習を受け入れるについてはそれほど抵抗もないし、今までやってきたテーマをそのまま総合的な学習に生かした形で取り組んできております。

アモアでできる主な学習というのは一体どんなものがあるか。荒川の動植物観察、それから、水中微生物観察、水質調査、土壌の生物調査、荒川の歴史調査、植物標本づくり、これはラミネートでつくらせます。それから、野草を使ったスタンプ、東京では珍しいザリガニ釣り、ザリガニ釣りのために近くにザリガニの釣り堀もつくっております。ボランティア活動の一環ということで、河川敷のごみ拾いをやる学校もございます。この中で人気のテーマを申し上げますと、総じて荒川の自然環境を対象にしたものが非常に関心が高くて、やはりナンバーワンは生き物、それから、川の汚れ、荒川の歴史、洪水、川の構造物、青山士、この青山士さんというのは荒川放水路の設計、施工の責任者でございまして、パナマ運河開削に日本人の技師としてただ一人参加した、土木工学の分野では著名な方でございますけれども、この青山士さん、それから、川の地形、そういったものが子供の人気の的になっているようでございます。(スライド2・3)

じゃあ、どうやって学習展開をしているかと申しますと、私ども、9時半に開館いたしますが、開館と同時に入館をいたしまして、同一のテーマに参加者全員が取り組むという場合と、子供たちが思い思いに立てたテーマに基づいて幾つかのグループに分かれて学習するという2つのパターンがございますが、大体午前中いっぱいやって、11時半ごろに引き揚げていくという、そういうようなパターンが多いようでございます。私ども、資料館にございます展示物とか、ライブラリーの書籍、ライブラリーには水と川の蔵書が今6,000冊ほどあります。それから、情報検索が可能なパソコン、水槽、それに荒川の絶滅危惧種を集めた水生植物観察池と野草園、これはいずれも資料館のそばに2年ほど前につくっております。また、器具器材を利用するほか、目の前の河川敷、歩いて1分もかからない、そこへ出かけていって、荒川の水を採取して水質調査をしたり、昆虫、野草を採集したりするというふうな形で展開しております。

 

 

 

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