これは社会事情からいくと週休2日というのになじむわけですね。だけど、文部省の用語では、週休2日という言葉は学校には使わないんです。僕がそれを言ったら違います、週5日制ですって。これはおもしろい発想ですが、つまり、休みの日を言っては教育的ではなくて、5日間で教育をやるというのだそうですから、社会的には週2日の休みということなんですけれども、これについて学校側とか、子供たちとか、先生方について指針を示していません、はっきり示していません。
同じく博物館に期待を寄せるという発言がしばしば文部科学省のサイドからいろんなメディアを通じて流れます。ところが、文部科学省は博物館の管轄の、所管の部局ではありますけれども、学校と違って制度的には所管を持っておりません。つまり、博物館というのは制度で縛られていないわけですね。カリキュラムはないし、何もない。ただ、設置基準的なものがあって、どんな資格があって、どんな人間がいて、どんな図書があってという程度のことでありますから、活動は自由、人間も自由、人事も介入しないという、そういうことになっています。遠く回っていけば、教育委員会を通じて人事が動くということはあるけど、これは文部省からの指図じゃないわけですから、ここで博物館に期待すると言われても、博物館のほうは全く知らずといっても差し支えない立場にあるということです。
そして、博物館側からすれば、これは博物館というのは、広くとって動物園、水族館、それから、植物園全部含めての組織ですけどね。日本で正式に数えた例がなくて、アンケート型でいくと9,000近い数があって、未登録博物館を含めて、半分公には6,000館あると言われていまして、その博物館の利用をすればいいというのが文部科学省の期待であるわけです。期待であって、実態はまだわからない、これからです。今、学校の先生たちはそのサジェスチョンというんでしょうか、案内に沿って博物館との連携を探ろうとしているところで、うまくいった場合には非常にいい成果を上げて、それはひとよりのことなんですけれども、ある程度の方向性が見えている。ところが、博物館だからとか、どこに行けばどうなるとか、地域には博物館がないところもたくさんございますから、それにはこの話は非常に差別的になってしまう。さまざまな制度、組織絡みの難点を抱えているということは、これはあまり議論されないものですから、あえてここで指摘をさせていただいたわけです。