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それから、子供の立場というのを考えてみますと、これは代弁しないと、討論会に子供が出てきてワイワイということはありませんので、そこでは、社会でいう理科離れというのを子供がどういう起因で起こるかというようなことも考えなきゃいけない。僕は、たまたま子供好きなものですからつき合いが多いんですけれども、例えば夏休みの全国を隔てなく募集した夏休みスクールなんかに行きますと、理科離れなんていうのは全然考えてないというか、理科という言葉だけで実験とか、何か難しい話だとかということを聞いて嫌だというのと、それから、同じ先生がいつもやっているからおもしろくないとか、ぐだらない理由ですけれども、科目理科の嫌いだというのが多くて、やっている遊びとか、標本を集めるとか、どこかに見に行くとか、手でさわるとかという、そういう自然に親しむときにはもうノリノリの子供たちばっかり。だから、それを切り取って社会で理科離れと言っているだけだという、そういうことも、先生たちが一番よく知っているはずなのに、何か知らないけど、あまり発言なさらないですね。

理科離れと言っている主体は、実は、ここにEの社会的な局面といっていますけれども、これはいきさつを振り返ってごらんになるとおわかりのように学会なんですね。物理学会とか、大学、あるいは企業の物理系、あるいは工学系の人たちが自分たちの後輩、あるいは自分たちの会社に入ってくれる人がこんな計算もできない、三角も知らないような人が入ってきたら困るというのを称して学力が落ちた、そして、理科から離れている、科学嫌いだというふうにストーリーをつくって、それが何か不思議な響きを持ちまして、理科離れというのは、これ、はやり語になってしまったんですね。だけど、実際にはそうでないということを、僕が少し怒りまして文部省に言ったら、ああ、それはわかっていますよということですから、文部省はよくおわかりなんですね。だけど、そのことを逆手に使うと、ここで学力を上げることができるという変な使い方をしているというのが文部科学省の実情だというのを、私自身は文部省の担当でもあるものですから、正直なところ、文部省のほんとうの理解者もいらっしゃると。しかし、政策的には、これはなかなかいいプロモーションの材料であると認識しているというような事情もお伝えしておいたほうがいいかなと思ってここに書いたわけです。

1つ、Aの制度絡み、組織絡みの局面については、これは、今度は文部科学省に対する私のかかわっている幾つかの面があって、教科書の面とか、それから、生涯学習の推進室の面だとか、いろいろ博物館関係だとか、大学の支援の関係とか、さまざまな面で結びついているわけですけれども、そこで、正直、これも文部科学省の方々もちゃんと説明はなさらないですけど、わかっていらっしゃることで、この今度始まります、定着する週5日制、つまり、引き算しますと週2日の休みができる。

 

 

 

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