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<発表と解説>

 

2. 「地下水のはなし」/長瀬和雄(神奈川県立生命の星・地球博物館研究員)

 

日本地下水学副会長、東京地学協会理事。専門は地下水学。理学博士。地下水を水循環の面から研究。著書に地下水学会編「日本の地下水名水百選」(共著)など。

 

ただいまご紹介いただきました長瀬と申します。よろしくお願いいたします。

私、大学を出まして、数年間、学校の教員をやった後、博物館にちょっとおりましたが、地下水の研究というのをやってきまして、ずっと地下水の研究で、研究の仕事は終わったわけですが、今、博物館で非常勤の研究をやらせていただいております。研究者というのはそれほど大きな力はないとつくづく思います。どっちかというと、自分の好きな研究をやっているように見られるわけですが、でも、私の経験を通して、学校の先生方というのは、やはり社会に対する影響が大きいなと思います。

私は、秦野市で秦野盆地の地下水を30年ぐらいずっと研究所でやっていたわけですが、そのうちの20年ぐらい、秦野の学校の先生方と一緒に調査を続けました。秦野の地下水の取り組みというのは、ある程度、今のような形で、私はよくできていると思います。

もう一つ、今日お話しする富士山の地下水のほうは、これは今ご紹介ありました日本一の量の地下水なんですが、それがやっぱり対策が十分じゃないなと思います。社会運動とかいろいろあります。そういうような方々がいろいろ熱心にやられているんですが、やっぱり学校の先生方が卒業生を送って社会の中へ浸透していく、そういうような世論づくりもまだまだ不充分と思います。市民の方々のそういう意見をバックにした行政の取り組みもこれからのように思うわけですね。

そのようなところを、今日2つ、どのような状況なのかお話をさせていただきたいと思います。時間が短いものですから、十分話ができないかもしれませんが、私の考えている結論だけを先に申しますと、大きい博物館というものはもちろん必要です。たくさん人が来て、ある程度収益性が上がるというのも必要なのかもしれませんが、私がいいなと思っているのは、例えば秦野市の渓流に沿った小さな公園に、学校の先生、校長先生方がやめられた後、そこで野鳥とか水など地域の自然を地域の方々にいろいろ教育されている。小奇麗な建物をつくってもらってですね。いつも市民の方々がそういうようなことを通して、あるいは学校の先生方がそこへ生徒さんを連れてこられて勉強できる場所というのは、非常にいいなと思っているわけです。それとそのような取り組みがおくれている富士山の話を、時間が許す限り話をさせていただきたいと思います。

 

 

 

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