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それでは、自然のことはわかったかと言われたら、全然わかったような気にはなってないですよね。かえって、どんどんわからなくなっている。だから、濱田先生が言われたように、やればやるほどわからなくなる世界ですね。

基本的には非常に複雑な要素が絡んだのが自然なんですけれども、その中で僕らは生きていて、非常にわからない部分もあるし、またわかっている部分で物すごい複雑なところがあるんだが、それをいかに頭の中に整理して入れるかというのが、僕としては、自分自身の1つの態度なんですよ。要するに、自然は、どれだけ自分の頭の中に入るかどうか。入り切れないですね。もちろん入り切れないとはわかっているんだけれども、それをどれだけ整理して、どの部分だけが入るだろうと。そのときに、なるべくうまい整理をすると、非常に広い範囲のものが頭の中に入る。その中には、何が基本で、まあ、キーワードと言ってもいいけれども、何が枝葉末節、非常に細かい部分か、自分でおのずと主観的に判断しているんでしょうね。ここは非常に根っこのところだから、よく理解しておこうと。それの後、いろいろ細かい枝葉末節のところは、それは必要になってから勉強するというような感じで、いかに整理して頭の中に入れるか。これが僕としての自然観というか、自然のとらえ方なんですね。それで1つの頭の中で、外側の自然が自分なりの、僕は一種の擬人化だと思っているんですが、私のプライベートな擬人化された自然が整理されていると。そういう感じです。

【濱田氏】 子供たちが、そういう境遇に置かれれば、すばらしい未来があると思うんですけれども、画一した整理箱の中で、それを入れないと上へ行けないという制度になっているのは非常に残念なことなんですね。

【木村氏】 子供のころというか、ずっと小学校から大学までの教育と、それ以降のことでひどく違っているなという僕は意識があるのがあるんですよ。それは数学なんです。数学というのは、わりあい論理的なもので、易しいものから積み重なって、どんどん教科書で勉強するわけなんですよね。僕らは一応、数物系なんで、結構レベルの高いところまで勉強するわけですね。その上に数学の研究というものがあるわけです。数学者というのがいて、数学の研究をしているんですが、その人たちの書いたのを読むと、数学というのは何か芸術と非常に近いもので、詩をつくったり、美術で非常にクリエーティブなものなんですよ。

 

 

 

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