日本財団 図書館


【濱田氏】 逆になって出てくるんですね。

【西田氏】 実際は透明なフィルムに組織が埋め込まれたかたちで薄片となるので、どちら側からでも見えます。

【濱田氏】 どっちでも構わないわけですね。

【西田氏】 はい。で、それを観察しますと、実にいろいろなことがわかりまして、例えば植物組織に入っていたイモムシとか、そんなのまで残っていたりします。それも恐竜時代の9,000万年前の果実を食べていたイモムシとか、2億5,000万年前の精子とか。植物でも、イチョウやソテツは精子で受精することはご存じかもしれませんが、ほんとうに胚珠の中に花粉管から精子が出てきて、それが泳いで受精するわけですね。その泳いでいる状態の精子の化石を見つけたんですけれども、そういうものは、今までまさかみつかるとは私も思っていなかったわけです。ただ、みつけようと思って、それは作業して、偶然みつかったんですが。そういう技術の進歩に伴って、今までわからなかったものが明らかになってくるというのは、いろいろありますよね。

新しい技術というのは、結構、ちょっとした、例えば学校でやっておられるようなことの工夫だとか、子供がちょっと考えついたことから大ブレークする。そういうことも多分あるのではと思います。

【濱田氏】 科学というのは、今日は科学の悪口を言うためにはありませんけれども、科学をやればやるほど、謎が多くなるという、また奇妙なことが起こるわけですけれども、複雑系という言葉が最近はやっています。総合の学習は、ある意味で複雑系を扱わざるを得ないと。ただし、イントロダクションのときに申し上げましたけれども、総合ということを、どこまでの範囲で総合とするか。つまり今の学問体系の中で、あらゆることを集めて、それを総合とするということではないことぐらいは、だれでも限度がありますからね。限界があるのでわかるわけですけれども、じゃ、3つ集めれば総合か。2つでいいかなということですけれども、実は、1つ、2つとカウントできない事象を扱うのが、多分、総合の学習だと。1つのアイテムと思っても、実はそれが複合系であると。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION