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その中で、結局、先生たちの努力と同時に、それは実験に対する努力ということ以上に、子供たちに興味をどうやって起こすかと。木村先生からも、西田先生からも、それぞれのおもしろさ、それから苦労のあること、びっくりするようなこと、意外性。それから、スケールの違うことを出してみると。さまざまなマジックの原理みたいなものがあります。いわば知的マジックですよね。先ほどとまっているように見えているというのは、動いているほうだとかですね。つまり視点の変換とか、そういうことを含めて、子供たちに広い頭の体操をしてもらう。子供たちはなじむのが早いですから、あっと言う間に、そういうものを吸収してくれます。その吸収力ができたところに、テーマを流し込む。そうすると、展開は、おそらく、僕も皆さんと同じじゃないからわかりませんけれども、思ったとおり展開しない。いろいろなほうに途中から分かれていって、さまざまに動いていく。それをどうマネージしていくかというのが、この総合の学習の一番おもしろいところでもあり、苦労でもあると思います。

もっとも、教科的に、これは受験とか進学にどうつながるかというように突然さめてしまうようなこともあるかと思いますけれども、それ以上に、今の文部科学省が考えていることは、子供たちに対する興味の持ち方をどう引き出すかと。そこに大きなポイントがあると理解しております。だから、「楽しさ」とか、「ストーリー展開の妙」ということで、僕のレジュメの後に、堀口君の現場でのコメントが出ている文章をつけさせていただきました。

最後に、長くなりましたけれども、科学の諸局面の中で大きく欠けていること。さっきのように、うそではないんですけれども、科学には、ある仮定を置いて物事を進めるという癖があります。それは、そうしたほうが単純ですし、モデルとしてはきれいだから。きれいだからということと実際とは違う。今日の木村先生のは非常に教訓的なのですが、ちょっと条件が違うと、と。この条件(コンディション)が違うということが、これからの子供の発展の基礎を与える。その言葉一つとっても大切です。

 

 

 

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