れと最後に言うお話かどうか分かりませんが、女性の方は個室に入るのはもったいないとか、こんなことにお金は使えないとかいうふうにおっしゃることが多いのですね。でも主婦に限らず女性にも限らないとは思うのですが、やはり女性は生計を支えてきていなかったという、実際は支えているのだけれども、現実にお金を取って来なかったというふうなことで、私は個室に入るのはっていうようなことはよくあります。私は人生の退職金だということで、ご自分の過ごしたいように最後を過ごせるということをご主人にお話をしておく。誕生日にガンのお話とかするときに、私も使わせてもらうわよというようなことをお話しされて、計画されておくと、安心の1つになるかなと思います。ぜひ人生の退職金ということをお話合いの1つにしてください。
松島:ありがとうございました。久保山さんお願いいたします。
久保山:私も以前日野原先生の講演会でお話伺ったとき、ホスピスに一番何が大事かとの会場からの質問に、日野原先生は明るさですっておっしゃいました。本当に日々働いていると、明るいということはとてもいいことだと思います。以前、入院してらっしゃった方が、自分の境遇と自分の今のつらさとかしんどさに対して、「看護婦さんね、哀れみかけないでねえ。私は看護婦さんに明るい笑顔を明るい話の内容と明るい態度で毎日来てほしいの」と言われました。100%そうでないかもしれませんけれど、やはり日々明るく過ごすということがいいかなと思います。ホスピスだから、知らない方はじめーっと暗く過ごしているのかなと思っている方もいらっしゃるかもしれませんけど、ホスピスほど明るいですね。柏木先生もよくユーモア、ユーモアっておっしゃるように、私自身も日々生活の中で、ちょっとしたユーモアですかね。スタッフにしてみれば慣れてしまって、はいはい、はいはいというような感じで言われますけど、例えば患者さんがお風呂入ってきて、「婦長さん、お風呂は気分が爽快やったわあ」と言われたときに「おや、そうかい」と言って、とてもうけていただきました。何回も使っているとああまたかと思われますから、たまに使われることをお勧めするのと、あともう1つ、これ自分自身が気に入っている分で、水薬とか、1目、2目とかよくみんな言いますよね。そのときに私が歌うのは、「メモリー、青い見て月を」って歌うのですよね。普通職場で歌なんてって思いますけど、1日中どこかで何かあった会話をとって口ずさんでいるのですよね。そういった私を許して、見守っているスタッフとか医師の方とか患者さんにとても感謝しながら、ホスピスはこうあらねばならないとか、私たちのケアはこうあらねばならないとかいう、あらねばならないというよりも、こうあってもいいんではないか、あれがこういうふうになってもいいんではないかというフレキシブルな対応ができる私たちで常にいたいなと思っています。
松島:ありがとうございました。渡辺先生。
渡辺:最後に久保山さんから歌まで聞かせていただいて、ずいぶんつきがあったなと思います。とくにほかに言うことはないのですけれども、今の死をめぐる状況というのは、ホスピスだけではなくて、高齢者、障害者、たくさんいまして、むしろそちらの方が大変な面もいっぱいあると思うんですね。メーヤノフの言葉に「ケアすることによって、自分を活かされる」というような言葉がありますけれども、日本では昔からお互いさまだとか、あるいは絆という言葉が半分はこちらもケアすることに活かされているんだということがあります。