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適応指導の方法、内容等

生徒たちの受け入れについては、原則として親子同伴で面接することが条件である。面接においては、不登校のタイプや生徒の現状だけでなく、生育歴、家族構成まで深く聞き取り、生徒の現在に至るまでの背景を理解することを第一にしている。また、不安などの情緒混乱タイプの生徒に対しては、専門のカウンセラーに訪問してもらい、カウンセリングやスタッフに対して専門家からの助言を求め、ケース検討会により生徒のケアについてのより良い方策を組み立てていく。

 

不登校の態様別適応指導

1. 学校生活上の影響

学舎では、小集団での生活を通して、安心して生活できる場として寮生活を体験させることで、対教師、対生徒間の人間関係のサポートを行う。

2. 遊び、非行

本人、家族との十分な協議の上極力受け入れるが、他生徒とのかかわりもあるので、他生徒に悪影響がある場合には他の矯正施設に委ねる場合もある。入寮した場合は、現況の遊びグループからの離脱を図る。そして、学舎においては師弟同行の姿勢で、運動を共に行い、生徒のストレスの発散を促すようにする。また、生徒の主体性を大切にし、自分に自信が持てるようサポートを行う。

3. 無気力

学舎では、ゆったりした雰囲気の環境を整え、寮内で友人同士接する機会を多くつくり、人間の持つ自然治癒力を引き出させ、自然に気力の充実を図るようにサポートする。

4. 不安などの情緒混乱

寮内での生活については、いっさい指示を与えない。生徒の訴えには十分に対処し、不安要素を取り除き、ストレス解消をサポートする。また、医療機関や専門医と連携を図り、人間の持つ自然治癒力を引き出すように促す。

5. 意図的な拒否

このような場合、生徒自身に入寮の意志はなく、親が積極的に連れてくるケースが多い。入寮した場合には、小集団の中で、生活を共にする仲間から受ける認識の違いに気づかせるようにするとともに、倫理(道徳)の時間に人間の多様な生きざまを紹介する。

6. 複合

常勤スタッフと家族と週1度の情報交換や、ケースカンファレンスを行い、上記の種類別指導方針に従い臨機応変に対応する。

 

日常の指導、指導内容

(1) 日常生活指導について

寮生活では、指導者は生徒一人ひとりに目標を設定させ、その目標達成に向けてサポート役になり、親や兄弟のような立場に立って生徒のめんどうを見ている。具体的には、起居動作、トイレの使用(旧式便所)、入浴の仕方、洗濯の仕方、食器の洗い方、掃除の仕方など、日常生活行動のきめ細かい指導まで行っている。

 

 

 

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